ミュージカル『虹のプレリュード』 ミュージカル『虹のプレリュード』

手塚治虫作品のなかでも貴重な少女漫画『虹のプレリュード』がミュージカルになる。舞台は、19世紀、ロシアの圧政下にあったポーランドの音楽学校。時代に翻弄される若者たちの運命が、劇的に描かれる。この作品がどんなふうに舞台に立ち上がるのか。ビジュアル撮影の現場に潜入し、ヒロイン・ルイズを演じる生田絵梨花、革命運動の闘士・ヨーゼフを演じる中河内雅貴に、意気込みを聞いた。

ミュージカル『虹のプレリュード』チケット情報

乃木坂46のメンバーとして活躍する生田が挑むのは、急死した兄の代わりに、男装してワルシャワ中央音楽院に入学するピアニスト志望のルイズ。自身も4歳からピアノを習ってきたという生田は、「まずは舞台上でピアノを弾けることがすごく楽しみなんです。とくにルイズが出会うことになるショパンは、私がいちばん弾いてきた作曲家。ショパンと共演できるのもうれしいんです」と、キュートな笑顔を浮かべる。一方、中河内も、実はクラシック音楽とは無縁ではないらしい。「3歳から始めたピアノは5歳のときにイヤで辞めちゃったんですけど(笑)、いつもクラシックのレコードをかけている家庭で育って、ダンスもクラシックバレエを習っていたんですよ。だから、音楽への情熱が描かれているこの手塚さんの原作も大好きになりましたし。ミュージカルになるのは必然だなと思いました」と、作品への思い入れの強さを見せる。

ビジュアル撮影では、「衣裳を着て、19世紀のポーランドの空気に少し触れられた気がした」という生田。音楽と祖国への愛との間で揺れるルイズを演じるにあたっては、「ロシア兵に立ち向かうシーンなど緊迫した場面もありますし、迫力のある舞台になるんじゃないかなと思うので、共演者のみなさんからいろんな表現の仕方を吸収して、ルイズの芯の強さと壮絶な人生を演じたいと思っています」と力強く語る。音楽院を追われてまでも革命運動に身を投じるヨーゼフを演じる中河内もまた、「時代も国も違うけれど、今僕たちが演じる意味は何なのかということを考えながら、今感じることをリアルに表現していけたらいいなと思っています。そして、ひとりでは役も深めていけないので、絶対に楽しい稽古場にしますよ!」と頼もしい。激動の時代のなか自分が信じた道を突き進もうとする若者たちが、今に伝えるものは何なのか。自分たちの目で確かめてみたい。

公演は10月2日(木)から5日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場にて。チケットの一般発売は8月31日(日)午前10時より。

取材・文:大内弓子