名作映画『レインマン』の、日本で3度目となる舞台化が決定。今回は2008年に発表されたロンドンのウエスト・エンド版の翻訳上演となり、上演台本と演出を松井周が務め、サヴァン症候群の兄・レイモンドを椎名桔平が演じる。

【チケット情報はこちら】

松井は自身が主宰する劇団“サンプル”を今年再始動させるほか、俳優としても活躍する多才な人物。今回オファーを受けた決め手として松井は、脚本の面白さを第一に挙げる。「すごく練られたホンで、人と人が会話している楽しさが、そのまんま作品になっているんですよね。だから上演台本を書くうえでもあまり変えられなくて。ただライブ感のある会話にはしたかったので、しゃべりやすい、思わず言ってしまうような言葉には変えています。そういった無意識というか、登場人物たちが無防備に過ごしている感じを、うまく舞台に上げられたらいいですね」

レイモンド役の椎名は、2006年、2007年の鈴木勝秀演出版で、ともに弟のチャーリー役として出演。それだけに松井は「共犯者になって欲しいというか、一緒にこの舞台をつくっていければ」と椎名への期待感を滲ませる。一方椎名は「レイモンドが難役なのは、過去に目の前で見てきたわけですから…」と苦笑い。「ただ僕が(当時レイモンドを演じた)橋爪功さんと同じうまみを出せるかといえば、そこでは勝負出来ない。だから例えばこの人がこういう心理状態にある時、体をどう作動させているかなど、ひとつひとつ自分の中で消化していくことで、自ずとこの役の動きや話し方といったものが生まれていくんじゃないかと思います」と、新たなレイモンド役に臨む心境を明かした。

そんな椎名の言葉に、「今の話を聞いて、ご一緒するのがさらに楽しみになりました」と松井。「やっぱりその人がそうなってしまう理由というのは、誰かの模倣ではなく、その体の、心の中にあるわけですからね。それがお客さんにとっても一番強い表現になるはずなので」と語ると、椎名も「やはり、そういった役への深い探求が出来るのが舞台の稽古であり、とても贅沢な時間。優れた演出家の方に、“それは違うぞ”とかいろいろ言われるのは、役者にとっては大きな喜びでもありますから」と笑う。すると松井も「そこは僕も一緒に楽しみたいですね」と、これから始まる稽古の充実ぶりを予感させ、さらに「その中でお客さんがグッと惹きつけられるような、濃密な空間をつくっていけたらと思います」と抱負を述べた。

公演は7月20日(金)より、東京・新国立劇場 中劇場にて。その後、静岡、福岡、大阪、宮城、愛知を巡演する。

取材・文:野上瑠美子

「ウレぴあ総研」更新情報が受け取れます