ツイ・ハーク監督

中国映画史上最高の製作費約32億円、興行収入約96億円の怪奇アクションアドベンチャー『ライズオブシードラゴン 謎の鉄の爪』が日本上陸。「香港のスピルバーグ」の異名を持つツイ・ハーク監督に独占インタビューを行った。

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『ライズオブ…』は、2010年に中国で大ヒットした『王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件』の前日譚。驚異の推理力で事件を解決する判事ディー役は香港のトップスター、アンディ・ラウから、台湾出身の若手マーク・チャオへとバトンタッチ。10万人の水軍を壊滅させた謎の怪物の正体を若き日のディーが追う物語となっている。「ディーはよくシャーロック・ホームズに例えられますが、一番の違いはディーが歴史上実在の人物だということです。彼の人格を変えるわけにはいきませんから、学者肌に見えて、しかもアクションもできる俳優を探しました。マーク・チャオはカナダやアメリカで学んできたので、他の俳優とは異なる雰囲気を持っていてディーにぴったりだと思いました」。

さらに、ドラマ『蘭陵王』で日本でも人気のウィリアム・フォンがディーのライバル役で出演しているのも注目だ。「彼の出演作は観たことがありましたし、非常に人気があるのも知っていました。これまでは穏やかな人物を演じることが多かったと思うのですが、今回は屈強で競争心の激しい人物を演じてもらって、新しい一面を出してもらいました。女性ファンにどう受け止められるか楽しみですね」。

ツイ・ハークは、80年代に『男たちの挽歌』をプロデュースして「香港ノワール」というジャンルを確立し、90年代にはジェット・リー主演の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズでワイヤーアクション時代劇のブームを作った香港随一のヒットメーカー。数多くの傑作の中から、彼自身のお気に入りを選んでもらった。「『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地黎明』は思い入れが強い作品です。シリーズものはゼロから考えなければならない、1作目が最も重要です。そういう意味では、『王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件』も挙げておきたいですね。『ライズ・オブ・シードラゴン…』の予習のためにもぜひ(笑)」。

8月2日(土)の公開初日は、シネマート六本木の11時10分の上映後にツイ・ハーク監督とのスカイプによるQ&Aイベントを実施。漫画家の久正人氏がゲスト登壇する。

『ライズオブシードラゴン 謎の鉄の爪』
8月2日(土)よりシネマート新宿、シネマート六本木より順次ロードショー

取材・文:岡 大