小堺一機  撮影:源 賀津己 小堺一機  撮影:源 賀津己

小堺一機のライフワークともいえる「小堺クンのおすましでSHOW」が今年も上演される。29回目となる今回は「A GANG IS HARD!~ギャングはつらいよ~」と題し、捧腹絶倒の物語と歌、トークを盛り込んだショーを展開する。小堺に意気込みを訊いた。

「小堺クンのおすましでSHOW 29 A GANG IS HARD! ~ギャングはつらいよ~」チケット情報

「ギャングを取り上げたのは、思い付きです」と笑う小堺。「バンバン撃ち合いもできるし、ジャズなんかを合わせることもできそうだし、タップをやってもいいし。いろいろと遊べそうな題材でしょ?」。今回も松尾伴内やあさりどなどお馴染みのメンバーが顔を揃え、バンドメンバーやスタッフも長年の仲。「説明しなくても形容詞が一致している感じ。僕が思いついたことを言うだけで、予想以上のものが返ってくる。通販を頼んだら黙って上のランクのものが届くようなもんです。だから僕はノーストレス」と語るその表情は実に楽しそうだ。

若手芸人らが出演する『とんねるずのみなさんのおかげでした』の「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」に登場するなど、キャリアを重ねても現役感を失わない小堺。「若手の出番を減らす悪い先輩だって言われました(笑)」と笑わせながらも、「ビートたけしさんが『俺らなんかより、いま浅草で客5人の前でやってるヤツの方が偉いんだ』っておっしゃるんですよ。その気持ちを忘れたくない」と話す。観客の目の前で芸を披露するという意味では、『おすましでSHOW』を続けることも彼が現役であり続けるために重要なことなのかもしれない。

「お客さんの反応によって、『おすましでSHOW』は毎日ちょっとずつ変わります。偶然ですけど、僕は子どもの頃に合唱団に入っていて、NHKのホールでお客さんの前で歌っていたんです。デビューのきっかけとなった『ぎんざNOW』も、その後の『欽ちゃんのどこまでやるの』も、全部お客さんが目の前にいた。そう、『ごきげんよう』も。その方が緊張もするけど楽しい。シーンとなったときさえ、ちょっとうれしかったりする」

『おすましでSHOW』は29回。『ごきげんよう』も前身番組から数えると30年。舞台や番組を長く続けながら、小堺は軽やかさをまとい続ける。「僕、ムカデの話が好きなんです。歩いているムカデに小鳥さんが『よくそんなに足がいっぱいあって歩けるわね』と声をかけた途端に足が絡まったという話。意識した途端にできていることができなくなる。そういうことなんじゃないかと思う。関根勤さんと一度、辞め時について話したことがあるんですよ。そしたら『お客さんが来なくなったら辞めればいいよ。僕たちが決めることじゃない』って。関根さん、10年に1回くらいカッコいいこと言うんですよ(笑)」

公演は8月22日(金)から31日(日)まで東京グローブ座にて。チケット発売中。

取材・文:釣木文恵