ハリウッドの伝説的特殊メイクアップアーティスト、ディック・スミスが亡くなった。92歳だった。スミスを師として尊敬し続けたリック・ベイカーは、訃報を受けて、「巨匠が亡くなった。僕の友人で恩師でもあるディック・スミスは、もうこの世にいない。世界は、もうこれまでと同じではない」とツィートした。

スミスは1922年生まれ。イェール大学在学中に特殊メイクアップの魅力に目覚め、さまざまな技術を開発。キャリアの初期には「Dark Shadows」などテレビ番組で活躍し、後に『エクソシスト』『ゴッドファーザー』『タクシードライバー』『ディア・ハンター』『スターマン ―愛・宇宙はるかに―』などの特殊メイクを手がけた。『アマデウス』で初めてのオスカーを受賞、2011年には名誉賞を受賞した。

スミスが育てた特殊メイクアップアーティストには、7度のオスカーに輝くベイカーのほか、リチャード・テイラー、辻一弘などがいる。

文:猿渡由紀