左から首藤康之、丸山和彰、石丸幹二  撮影:源 賀津己 左から首藤康之、丸山和彰、石丸幹二  撮影:源 賀津己

俳優の石丸幹二が物語を朗読し、ダンサーの首藤康之が踊り、ピアニストの若林顕がチャイコフスキーを奏でる。男性3人による舞台『くるみ割り人形』が11月18日、世田谷パブリックシアターにて上演される。雑誌「SWITCH」の創刊30年を記念しての特別企画公演だ。石丸と首藤は昨年、今夏も再演が予定されている舞台『兵士の物語』で共演。「お互いの波長がすごく合って、意気投合したんです。また何か一緒にできないかと思った」と口を揃える。今回の企画で再び顔を合わせた際、ふたりの意見が一致して出てきた演目が『くるみ割り人形』だったという。

SWITCH 30th Anniversary 文学への新しい冒険 チャイコフスキー「くるみ割り人形」チケット情報

「『くるみ割り人形』の舞台ってバレエとオーケストラのものという認識があるじゃないですか。そこに言葉が入るということは、新しい風だと思うんですね。原作の本をもとにしてチャイコフスキーが作った世界を、原点に引き戻すとどうなるのか。さらに言葉が加わることで皆さんの心の中にある『くるみ割り人形』がどう変化していくのかが楽しみですね」(石丸)

「バレエのために作曲された音楽に言葉が入ってくると、まったく色が変わっていくんじゃないか。表現のジャンルが異なった男3人による『くるみ割り人形』なので、これまでになかったものができるのではとワクワクしています」(首藤)

さらに、首藤が「舞台上の3人だけで作るのではなく、外から客観的に見てもらいたい」と声をかけたのが、舞台『空白に落ちた男』で共演したパフォーマー、マイム・パフォーマンスユニットCAVA(サバ)の丸山和彰だ。今回の舞台で構成・演出を担当する丸山は「本来の『くるみ割り人形』のファンタスティックスなところは残しつつ、男性の渋い、カッコいいところも見せたい」と構想を語る。

「『くるみ割り人形』の物語を伝えるだけでなく、石丸さんと首藤さんがそれぞれある問題を抱えたキャラクターとして登場するサブストーリーを付け足そうと考えています。大人の男性ふたりがお互いに影響を与え合いながら、人生の新たな一歩を踏み出していく…といった情景が見えてくるといいなと」(丸山)

モノ作りへ向けた好奇心と喜びを和やかに語り合う3人には、首藤が発した「同じ価値観を持った舞台人」という言葉がしっくりとあてはまる。多くの人が愛する『くるみ割り人形』の世界をいかに変貌させるのか、その驚きを共有したい。

「素晴らしいダンサーと素晴らしいピアニスト、そしていろんなアイデアを投げかけてくれる丸山さん。男しかいない現場で(笑)どんな化学反応が起こるのか楽しみにしています」(石丸)

公演は11月18日(火)東京・世田谷パブリックシアターにて。チケットぴあではインターネット先行抽選「プレリザーブ」を実施中、8月18日(月)午前11時まで受付。

取材・文:上野紀子