(左から)上白石萌音、周防正行監督

京都の花街を舞台に、舞妓さん、芸妓さんが歌って踊るエンターテインメント『舞妓はレディ』が公開になる。監督は『Shall we ダンス?』の周防正行。20年来の企画を実現させた監督と、京都の外からやってきて、舞妓になるべく成長していく主人公・春子をイキイキと魅せる上白石萌音に話を聞いた。

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参加者800人にのぼるオーディションから、鹿児島弁と津軽弁のバイリンガル・春子役に抜擢された上白石だが、監督は「本当に普通の女の子で、特に目立っていたわけではない」と振り返る。「でもだからこそ、歌を聞いた瞬間に驚きがあったんです。歌い出した瞬間に『私はここにいます!』という存在感と、歌が大好きだという気持ちが伝わってきた。その変化が、京都にやってきて舞妓さんとして花開いていく春子自身を内に持った子だと思わせてくれました」。

とはいえ、その“変化”こそ曲者。本作では、上白石自身の出身地ではあるものの、現代の若者には馴染みのないこてこての鹿児島弁と、津軽弁をマスターし、加えて京ことば、舞妓としての芸や立ち振る舞いを覚えることが必至。その成長過程が順撮りではなくバラバラに撮影されていく。初主演で挑むにはあまりに高いハードルだ。

「難しかったです」と言いつつ、「でも監督が最初に、ちゃんと頭の中でシーンの繋がりや全体での位置を理解してお芝居してねとおっしゃってくださったので」と、言うは易く行うは難しを笑顔で答える上白石。

監督も「すごく苦労するだろうと思っていたのに、上白石さんには自分の中で理解して臨める能力の高さがあった。オーディションでの印象を、またいい意味で裏切られた(笑)。おかげで僕は映画的にどうおもしろくできるかという一段上に意識を向けることができたんです」と高く評価。

当の上白石は、楽しい思い出のほうが強いよう。「現場が本当に温かくて。舞台の花街もオープンセットなんですが、大好きになってしまって。何回かスタッフさんに泊まりたいですってお願いしたんですけど、さすがにダメですって言われてしまいました」と笑わせた。

『舞妓はレディ』
9月13日(土)公開

取材・文・写真:望月ふみ