中村俊輔(横浜F・マリノス) (c)J.LEAGUE PHOTOS 中村俊輔(横浜F・マリノス) (c)J.LEAGUE PHOTOS

昨季、優勝を争った両クラブが、J1リーグで中位に甘んじている。サンフレッチェ広島は勝点37で7位、横浜F・マリノスは勝点33で10位である。では、明日のJ1リーグ第25節で対戦する両軍は、モチベーションが低下しているかと言えば、決してそうではない。

9月23日(火) 横浜F・マリノス対サンフレッチェ広島 J1リーグ戦 チケット情報

『ACL』出場圏内の3位・サガン鳥栖は勝点44だ。昨季を振り返ってみると、第24節終了時に2位・浦和レッズに勝点10差をつけられていた川崎フロンターレが最終的には3位に滑り込んだ。浦和は残り10試合3勝3分4敗で6位に転落したのだ。そして、何よりも、横浜FMと広島は昨季の大逆転劇を演じた当事者である。広島は残り2試合で首位・横浜FMに勝点5差という絶望的なビハインドを跳ね返したのだった。広島は諦めない気持ちの重要性を再認識し、横浜FMはサッカーの怖さを思い知った。昨年のことを思い出すまでもなく、勝点7差しかない『ACL』出場権は、広島にとって射程圏内と言える。11差の横浜FMも諦める数字ではない。

横浜FMは開幕3連勝と絶好のスタートを切ったが、第6節から5試合連続ノーゴールと苦しんだ。それでいて、現在リーグ戦2位、得点数も2位の川崎Fにアウェイで3-0、ホームで2-0と完勝したりもする。チーム最多得点は齋藤学と伊藤翔、ラフィーニャの4ゴールと寂しい数字だが、中村俊輔のセットプレーから、中澤佑二、栗原勇蔵の両DFの高さという飛び道具は健在だ。やはり横浜FMの命運は、中村が握ることになるだろう。35歳にしてキャリアハイの10ゴールを挙げ、MVPを獲得した昨季のようなトップフォームを取り戻せば、自ずと勝点は付いてくる。中村はひとりで結果を左右する大仕事をやってのける力がある。

昨季リーグ最小失点で連覇を手繰り寄せた広島は、今季は失点数7位タイとらしくない数字を残す。しかも、昨季逆転Vを決めた対戦相手、鹿島アントラーズとの2試合では0-3、1-5と完敗を喫している。さらに8月以降、7試合で5得点と決定力不足に喘いでいる。苦しみながらも光明がある。9月に入って、チームの精神的支柱であり、攻守の軸でもある青山敏弘が2か月ぶりに戻ってきた。第24節で1か月ぶりに戦線復帰した背番号9・石原直樹もゴールを決めた。FW・皆川佑介は日本代表デビューを果たし、さらに高みを目指す。きっちり『天皇杯』ベスト8、『ナビスコカップ』ベスト4入りするなど、コンスタントに結果を残す。

横浜FMは昨年の教訓を糧にひとつずつ階段を上っていけるのか。広島は昨年の経験をもとに『ACL』出場、さらにその上に辿り着けるのか。横浜F・マリノス×サンフレッチェ広島は9月23日(火・祝)・日産スタジアムでキックオフ。チケット発売中。