6月11日、テレビ東京で「ミュージカル オペラ座の怪人 ~ケン・ヒル版~」の記者会見と歌唱披露が行われた。ファントムを演じるのは、ウエストエンドを代表する実力派スターのジョン・オーウェン・ジョーンズ(JOJ)。26歳の時『レ・ミゼラブル』の最年少ジャン・バルジャンに抜擢され、その後、ロイド=ウェバー版の『オペラ座の怪人』ファントム役など、大作の主役を務めてきた。今回、日本でのミュージカル出演は初めてだ。

【チケット情報はこちら】

ケン・ヒル版の音楽は有名クラシックのアリアが作品中に散りばめられている。作品について、JOJは「アンドリュー・ロイド=ウェバー版に比べてオペラの要素が強い作品。ただし声楽的な部分だけでなく、物語、人物、苦悩を伝えたい。ロイド=ウェバーはケン・ヒル版にインスパイアされて、あの大作を作り上げたと言われています。今回、僕はファントムを新たな視点から探り、新しい人物像を作り上げたいと考えています」と意気込んだ。公演の応援サポーターの別所哲也と遼河はるひが「演劇ファン、ミュージカルファン、オペラファン、全ての人が納得できる作品」(別所)、「ケン・ヒル版はキャラクターがユーモラスで人物描写が巧み。ロイド=ウェバー版より原作に近い」(遼河)と、作品の特徴を述べた。

JOJが華麗な歌声で2曲歌った。まず、オペラ座の怪人ケン・ヒル版『高い高いところから』は初公開で、繊細なシルキーヴォイスで魅了した。ロイド=ウェバー版『ミュージック・オブ・ザ・ナイト』では迫力ある美声で、さすがの実力を知らしめた。歌唱後、「初めてマイクの前で歌い、緊張しました。お稽古をしたら、もっと上手くなると思います」とチャーミングに語った。

質疑応答でJOJは役者人生のターニングポイントを聞かれ、「ウエストエンドでバルジャン役の方がバイク事故で舞台に立てなくなり、その代役を務めたら、偶然キャメロン・マッキントッシュが観にきていて、そのまま本役となりました。26歳とバルジャンを演じるには若すぎる年齢でしたが、こんなチャンスは2度とないと、両手で掴みにいきました」。ファントムとはどんな存在かを問われると、「役者にとって興味深い役。心の中に人を憎むダークサイド、片や人を愛する部分と、二面性がある。人間味に溢れた部分を演じるのが難しく、面白いです」とそれぞれ語った。

自身とファントムの共通点を聞かれて、悩む場面も。「遼河さんから、“美しい声”と言われました。私のハンサムな容姿とは違いますね(笑)。僕も実はオペラ座の地下に棲み、人をたびたび殺しています」とジョークを飛ばした。公演中の渋谷での楽しみとして、ニンテンドーが大好きなJOJは「マリオカート」を挙げた。最後に、「初めてご覧になる方はオープンハートでいらしてください。最高に楽しくてユニークな『オペラ座の怪人』をご堪能いただけます」と胸を張った。

「ミュージカル オペラ座の怪人 ~ケン・ヒル版~」は8月29日(水)から9月9日(日)まで、東京・東急シアターオーブにて上演。チケットは発売中。

取材・文:三浦真紀