浦井健治  撮影:源 賀津己 浦井健治  撮影:源 賀津己

インドの音楽家が作り上げたミュージカルが、2015年1月から、東京国際フォーラムと梅田芸術劇場で日本初お目見えする。これまでにないマサラ・ミュージカル『ボンベイドリームス』に主演として挑むのは、ミュージカルはもちろん、ストレートプレイや映像でも活躍が目覚ましい浦井健治。巨匠・ロイド=ウェバーが惚れ込んでプロデュースしたという作品の日本版に、浦井自身も期待が膨らんでいるようだ。

ミュージカル『ボンベイドリームス』チケット情報

本作の音楽を手がけているのは、『ムトゥ・踊るマハラジャ』や『ボンベイ』、そして2008年にアカデミー賞作品賞を受賞した『スラムドッグ$ミリオネア』などの大ヒット映画で知られるA.R.ラフマーン。その手腕はミュージカル音楽でさらに開花し、浦井も一瞬で虜になったという。「とにかく、メロディーが多彩で豊かなんです。ノリノリになれるようなビートを刻んでいる楽曲があったり、ポップスに負けないキャッチーなものがあったり、ダイナミックなナンバーがあったり。そこに伝統的なインドの曲調が混じって、どれも魅力的で耳に残るんですよね」。ウエストエンド版、ブロードウェイ版では、その音楽に合わせた刺激的なダンスも話題になった。日本版の振付はこれからだが、「衣装を含め、華やかできらびやかなイメージになりそう」と想像を広げる。「それだけ画期的な舞台であるだけに、技術的には、歌もダンスもトライアル(試練)はたくさん出てくると思います。でも、だからこそ、ワクワクするんです」。

浦井が演じるのは、スラム街に育った青年。憧れていたボリウッド(インド映画)の世界に偶然入った彼が、そこでさまざまな経験をしていくことになる。「貧しくとも純粋に育ってきた青年が、夢の世界の裏側にある闇を目の当たりにして、葛藤して、成長していく。その人間ドラマも魅力的なんです。人にはやっぱりどんな環境で生きていようが変えられない大切なものがあるということ。夢を持つエネルギーのすばらしさ。ストーリーからも伝わってくるものがたくさんあると思います」。浦井自身にも変わらず大切にしたいことがある。「自分ひとりの力じゃ何もできない。だから、関わる人すべてに感謝したいし、自分自身も、より貪欲に、より鮮度を高めて、進化していかなきゃいけないなと思います」。マサラ・ミュージカルという新たなジャンルに挑むのは、まさに、その思いの表れである。

公演は2015年1月31日(土)から2月8日(日)にかけて東京国際フォーラム ホールCにて、その後2月14日(土)・15日(日)に大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて上演される。チケットぴあではインターネット先行先着「プリセール」を受付中。

取材・文:大内弓子