鹿賀丈史  撮影:源 賀津己 鹿賀丈史  撮影:源 賀津己

男同士の夫婦とひとり息子をめぐる愛の物語を描いたミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』。日本初演から30周年を迎える2015年、3年ぶりに上演される。この作品がこんなにも長く愛されるのはなぜなのか。“夫”のジョルジュを演じる鹿賀丈史が、作品の魅力と、舞台にかける思いを語った。

ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』チケット情報

鹿賀が初めて『ラ・カージュ──』に挑戦したのは2008年。以来、今度で3度目の出演となるが、この作品でジョルジュというゲイ役を演じることには、大きな魅力を感じているのだという。「これは人としての思いやりや愛がいっぱい詰まっている話なんですけども、ゲイであるからこそ、そういったものがより深く繊細に色濃く表現できるところがある。そこが演じていて非常に気持ちいいんですね」。たとえば、ひとり息子の結婚に際し、普通の男女の夫婦になりすましてひと騒動起こしてしまうのも、息子のためなら何でもするという濃い愛情の表れ。面白おかしい場面のなかにも、人にとって大切な精神がくっきりと浮かんでくる。「世間から冷たい目で見られることもあるけれども、ゲイであるジョルジュたちのほうが人間愛をより深く理解しているんじゃないかと思えてくるんですよね。ですから、人間の尊厳も表現できるのではないかと思いますし。何より、笑っているうちに泣けてくるというお芝居はすばらしいので。いい作品に巡り合えたなと思っているんです」。

ジョルジュの“妻”を演じる市村正親とは、劇団四季時代からの盟友だ。舞台上では、夫婦として愛を交わしたりケンカをしたり、息の合ったところを見せてくれる。「付き合いが長いだけに、とくに打合せをしなくてもスッとできてしまうところがやはりありますね。見つめ合うと、“お互い年を取ったね。頑張ってるね”っていう気持ちになりますけども(笑)」。舞台に立って40年あまりが過ぎた。「正直なところ、若いときには簡単にできたことが、何回も練習しないとできなくなったりしています。でも、繰り返すことで味のある芝居や歌になったりもしますし、年齢を重ねることで役の捉え方も違ったりしますから。今度の『ラ・カージュ──』も、また新しく感じることがあると思います」。最後に、常に新鮮な気持ちで演じる秘訣を、「その作品に真剣に向き合い、よけいなものを落として、台本に書かれてることを忠実にやること」と即答した鹿賀。感動的な舞台に必要なのは、そんな真摯な思いだけなのかもしれない。

公演は2月6日(金)から28日(土)まで東京・日生劇場、3月6日(金)から8日(日)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて。両公演ともにチケット発売中。なお、12月28日(水)までにチケットぴあ 有楽町国際フォーラム店、渋谷ヒカリエ店で東京の平日公演S席のチケットを購入すると劇場で非売品A5クリアファイルと引換えできる特典券がついてくる。

取材・文:大内弓子