「作家にも出版社にも読者にもメリットがある、合法な“漫画村”」をつくる実証実験が始まった

Jコミックテラスは8月1日、作家本人以外の第三者が投稿した漫画や文芸作品の配信を合法化し、広告収入の一部を作家と投稿者、出版社に分配する実証実験を開始した。作家にとってメリットのない、海賊版作品の流通防止を目標に掲げる。

今回の実証実験では、Jコミックテラスと実業之日本社が連携。実業之日本社で発行・掲載されたことのある作品のうち、現在は紙・電子ともに販売されていない作品の投稿を、作家や第三者から受け付ける。これを、絶版の漫画作品などを扱う電子書籍サイト「マンガ図書館Z」で配信し、同ページ内に広告を掲載。広告収益を、作家(80%)、出版社(10%)、投稿者(10%)で分配する。

第三者が投稿した作品を配信するには、出版社と協力して作品の作家に許可をとる必要がある。作家に無断で投稿すると“海賊版”となり、作家の収益にはないため、許可がとれなければ配信しない。出版社にとっては、絶版になった作品の電子データを低コストで入手できるだけでなく、収益につながるメリットがある。投稿者は、作品を作らなくても投稿するだけで収益が得られる可能性がある。

現状、絶版になった作品が欲しい場合は、新古書店やフリマアプリ、オークションサイト、Amazonなどで購入する、もしくは海賊版サイトで入手するしかない。どの方法も、作品を作り出した作家や出版社の利益にはつながっていなかった。

発表会で、実験を発案した漫画家でありJコミックテラスの赤松健取締役会長は、「今回、決定版というべき実証実験を開始する。究極の目的は、新刊を有料にするなど、全ての漫画が読めるような場所にしたい。このシステムが国会図書館に採用されるようなことになれば、あらゆる作家が潤い、ネットの海賊版サイトは絶滅する」とコメントした。

実験の期間は1年としているが、「その間も、ユーザーや業界関係者から声を集め、改善し続ける。中小の出版社からは、すでに声もかかっているので、新たな出版社が実験に加わることがあるかもしれない」という。

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