井上芳雄主演ミュージカル『ハムレット』が開幕 井上芳雄主演ミュージカル『ハムレット』が開幕

井上芳雄が主演するミュージカル『ハムレット』が2月1日、東京・シアタークリエで開幕した。

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世界中で上演されているシェイクスピア悲劇だが、今回上演されているのは1999年にチェコ・プラハで初演された作品。日本では珍しい“チェコ・ミュージカル”だが、チェコで最も有名なミュージシャンのひとり、ヤネック・レデツキーが生み出した本作は、これまでにブロードウェイや韓国でも上演されており、世界的にも注目度が高まっている。

物語は、デンマーク王家を舞台に、王子ハムレットが父を殺し王座と母を奪った叔父に復讐を果たす――という、基本的には原作に忠実なもの。だが、物語の展開よりも登場人物の感情に重きを置き、ギュッと凝縮されたスピーディな展開に。そしてエレキギターのサウンドが印象的なロックナンバーや軽快なポップスなど、多彩な音楽が斬新で、新鮮な『ハムレット』になっている。栗山民也の演出も、城壁を思わせる高さのある壁を一面に配したセットの中、陰影を効果的に使いドラマチックに仕上げた。

タイトルロールの井上はこれまでも“王子”的役柄を数多く演じてきており、その意味で彼にとって王道の役かと思ったが、意外にも今までにない新鮮さをもってハムレットを演じている。嘆き、憎しみなど強い“負”の感情を爆発させるハムレットは激しく生々しく、だが目が離せない魅力を放つ。その井上ハムレットを取り囲むメンバーも強力だ。美しく気品あり、そして愚かさも持つ王妃ガートルードを演じる涼風真世はこれ以上ないほどのハマリ役。敵役のクローディアスの村井國夫の重厚さや、ヒロイン・オフィーリア役の昆夏美の透明感、妹オフィーリアへ温かい愛情を注ぐレアティーズ役の伊礼彼方など、それぞれが納得の存在感だ。またハムレットの親友ホレーショー役の成河(ソンハ)の爽やかさ、時にコミカルな演技で作品のガス抜きもするポローニアス役の山路和弘らも印象的。この大劇場常連のキャスト陣が揃い、600席強のコンパクトな劇場で見せる熱演は圧巻だ。

公演は2月22日(水)まで同所にて。その後2月25日(土)から28日(火)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、3月3日(土)・4日(日)に愛知・中日劇場でも上演される。チケットは発売中。