(画像左から)尾上松也、中村獅童 (画像左から)尾上松也、中村獅童

累計300万部を超えるベストセラー絵本『あらしのよるに』が新作歌舞伎に!嵐の中で出会う狼・がぶと山羊・めい。“喰う”“喰われる”という関係を超えて、2匹は秘密の友達になるが…。初演は2015年、京都・南座。翌年、東京・歌舞伎座で再演され、どちらも大盛況。そしていよいよ11月に博多座で初お目見え。開幕を前に、がぶを演じる中村獅童と、めいを演じる尾上松也が公演に対する思いを語った。

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「初演の時は、全館学生さんのみの観劇という日を作ってもらったんですよ。興味なかったら寝ちゃうかも…という思いもあったし、ひとつのチャレンジですよね。そしたら終わった時にうわーっと盛り上がって、女子学生さんがキャーキャー言ってくれて(笑)。思わず松也とふたりで握手したくらい。それからSNS等で盛り上がって、南座の札止めにつながったんですよね。本当にありがたかったです」と、笑顔で語る中村獅童。この演目は4歳以上から入場可能とあって、お子様連れでの観劇も目立つのだそう。「お子様の反応が素直で、大きな声で笑ってくださったりすると僕らは本当に嬉しくて。自分もそうなんですけど、小さい時に母と観た映画だったり演劇だったりを今も覚えていて。今回観てくれた子どもたちが大人になった時に、また歌舞伎を観てみようかなという気持ちになってくれたりしたら本当に嬉しいし、この芝居を作った甲斐がありますね」と続けた。

尾上松也も、獅童と共に今回が3度めの出演。「最初に獅童さんから、この役に、と声をかけてもらった時は、僕自身メディアに少しずつ出始めたかなって時だったので。新作でしかもこんな大きな役になる事が、本当に嬉しかった。責任も感じましたし、このお芝居を自分の力で良いものにしていきたい、という気持ちを強く持ちましたね。だから精一杯頑張りもしたのですが、新作というものは不安も結構あるんです。だけど不思議と“この作品は皆様に愛される作品になる”という確信めいたものがありました。実際に大賑わいになって本当に嬉しかったですね」と笑顔で語る。義太夫や長唄といった歌舞伎の伝統的な表現方法をきっちり使いながら、絵本に描かれる“友情”や“信じる力”といった普遍的なメッセージがきちんと伝わる作り。和服でありながら動物に見える斬新な衣裳や、「食いてーなー」など、それぞれの心情を表現するわかりやすい歌詞等、堅苦しくないなかで歌舞伎の様式美を体感できるのが本作の魅力だろう。

「絵本も大変なロングセラーだけど、歌舞伎も後世に残る作品にしたい」と言う松也に、「“中村獅童のライフワーク”にしたい作品。そして僕が芝居中で良く言うセリフ“そうでやんす!”が流行ると嬉しいかも(笑)」と獅童。それぞれの思いが11月の博多座を熱く盛り上げてくれそうだ。

11月3日(土・祝)から27日(火)まで福岡・博多座で上演。チケットは発売中。