・カウンターレストランは舞台である!
 

「結局、カウンター形式はシェフの力量がより問われるんですよ。単に料理のクオリティーだけじゃなくね。サービスマンがいない分、そのパーソナリティも大事になる」 

シェフ「はい、自家製ソーセージとクスクス、それに白菜です!」

   

 

 

 








いいですね。小川さん、他にカウンターで気をつけることは? 

「まあ、こういうところでシェフと会話しないのは無粋。愚の骨頂ですよ。ここは舞台なんです。客も参加してより素晴らしい舞台を作り上げていくんです!」 

おお! やる気が出ます。でも黙々と仕事をしているシェフもいますよね……。 

「そういうときは黙っててもいいかもね」 

え! 

「黙って見守ってくれている感じの店もあるでしょう? 大事なのはシェフと合うかです。何か気持ちのいい感じがしたら、そこに通ってみればいいし」 

確かに仕事で疲れて誰とも話したくないときに、ひとりでカウンターの店に行くと癒されたりしますね。 

「そう。いろいろな使い方ができるのもいいよね」 

シェフ「お待たせしました! 牛肉のクレピネットです」

   

 

 

 









うわあ! これはすごい。いわゆるハンバーグですが食感が全然違いますね。 

シェフ「つなぎを全く使っていないんですよ」 

ソースに入っている極小のトマトもアクセントになっていて、この一皿はとんでもなく美味いですよ!! 

素敵なサービススタッフと会話を楽しみながらの食事もいいですが、シェフと会話しながら時間を過ごすのはまた楽しいですね。カウンターレストランを使いこなすのは大人のたしなみですね! 

「そんなに前のめりにならなくてもいいですよ。それぞれが楽しめばいいんです。でもご自身に合ったお店が見つかれば、豊かな気持ちになるでしょうね。あれ、お店に入りたそうにしている人が外にいますよ。行きましょうか。自分のことだけを考えて長居しないのもマナーですよ」 

ウイ! 

シェフ「またお待ちしてまーす」


【店舗情報】
赤坂「t013.n.table」
18時~24時
不定休

※こちらのお店は原則紹介制です。来月発売の雑誌『GQ JAPAN』に掲載されるそうです。 

1965年東京生まれ。ぴあ株式会社グルメ統括プロデューサー兼『東京最高のレストラン』編集長。主な編集作に『いまどき真っ当な料理店』(田中康夫)、『一食入魂』(小山薫堂)、『宮部みゆきの江戸レシピ』、『行列レストランのまかないレシピ』(森脇慶子)など。2001年にプロによる完全実名評価本「東京最高のレストラン」を創刊。