『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』に主演したトーマス・ホーン

先週末より日本公開されている映画『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』で主演を務める14歳のトーマス・ホーンが映画PRのために来日し、インタビューに応じた。

その他の写真

「ご自身の両親に関する印象深い思い出は?」この質問にホーンは、じっと考え込んだ後で「いろいろと思い出そうとしてみたけど、わからないです」と回答した。多くの14歳は“現在”を生きることに精一杯で、“過去”を振り返ることはないだろう。しかし、彼が演じた主人公オスカーは、9歳にして何度も何度も、過去を振り返る。ある事件が原因で父を失ったからだ。オスカーは、亡き父が残した謎の鍵といくつかのヒントを手がかりに、父の遺したメッセージや思い出を求めて街へと飛び出していく。

ホーンは、本作が映画デビュー作。演技経験はなかったが、プロデューサーのスコット・ルーディン氏に抜擢され、いきなりトム・ハンクス、サンドラ・ブロックと親子役で共演した。「トム・ハンクスさんは僕が自然に役に入ることができるように“父子の関係づくり”をすべてやってくれました。それはサンドラさんも同じです。オスカーが母親に酷いことを言う場面があるのですが、カメラが止まると彼女は『これはキャラクターが言っていることだから気にしないでいいのよ』と気を使って僕を安心させてくれました。同時にふたりは、自分が最高の演技を見せるための準備を怠らないし、いつも完璧を目指している。その意識の高さは本当に尊敬します」。

映画の主人公とは事情が異なるが、ホーンも本作に出演したことで、想像もしなかった世界に足を踏み入れ、予想もしなかった経験を積むことになった。「この作品に出演することができて本当に幸運だったと思うし、自分が世界中の様々な場所に行くなんて想像もしませんでした。この年齢でプロの演技者がどのように振舞うか学べたし、キャンペーンを通じて世界各国の文化を知ることもできました。今後、演技を続けるかどうかはまだ決めていません。まずは大学に入って、しっかりと勉強をしたいと思っています。コンピュータ・サイエンスが好きで、数学や歴史にも興味がありますね」。

ホーンが今後、演技の道に進むかはわからないが、早くも彼を“未来のオスカー候補”と呼ぶ声もある。彼の“次回作”は実現するのか? それとも本作がホーン“唯一の出演作”になるのか? 本作で素晴らしい演技を見せているだけに気になるところだ。

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』
公開中