『バケモノの子』 (C)2015 THE BOY AND THE BEAST FILM PARTNERS

「ぴあ」調査による2015年7月10日、11日のぴあ映画初日満足度ランキングは、孤独な少年とバケモノの交流を描いた細田守監督による長編アニメーション『バケモノの子』がトップに輝いた。

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1位の『バケモノの子』は、バケモノの世界“渋天街”に迷い込んだひとりぼっちの少年が、バケモノの熊徹の弟子になり、修行に励んでいく姿を描いたアニメーション作品。少年は熊徹から“九太”という名前をもらい、ぶつかり合いながらも共に生きていく中で、ふたりの間には次第に“親子”のような絆が生まれていく。出口調査でも「父と息子の物語。ひとりぼっちだったはずの子が、父と共に生き、支え合って成長していく。そんな姿に感動した」「人間とバケモノでも家族のようになれる。家族の絆の強さに感動!」「子どもの成長というのがテーマになっていて、子育てがいかに難しいのかを感じた」など、子どもとして、親として、それぞれの視点で様々な感想が生まれたようだ。

九太は、ある事情からひとりぼっちになってしまい、以来、誰にも心を許さない生意気な少年だ。しかし熊徹との出会いが九太を成長させていく。一方で熊徹も、力は強いが粗暴な性格で、弟子も寄り付かない独り身のバケモノだ。ところが九太と出会ったことで、熊徹もまた成長していく。また、ふたりの成長はふたりだけで成し遂げられたものではなかった。観客からも「主人公が、今まで出会った人々に感謝していくシーンには感動した」「“ひとりではない”をテーマにしていると思う。人といることにより、癒されたり励まされたりすることを感じられる作品」といった感想が寄せられた。さらに物語の重要な題材として、人間が抱える“心の闇”も印象的に描かれており「九太の成長していく姿は年齢も近いので共感した。自分の抱える闇と向き合っていく姿に、こちらも勇気をもらえたような気がする」「熊徹が主人公の心の穴をうめようとしているところが心に響いた」といった感想もあげられた。人はひとりで生きているのではない、周囲の人々の支えや励ましがあるからこそ生きていけるのだと改めて考えさせられた観客も多かったようだ。

親と子、そして周囲との絆が描かれた本作だが、様々な動物をモチーフにしたバケモノたちや、バケモノが暮らす街、バケモノ同士の決闘などエンターテインメント作品としても楽しめるポイントが沢山ある。「多彩なキャラクターが描かれていてよかった」「ラストの熊徹のバトルシーンはかっこよかった」「バケモノの世界での買い物シーンは、人間世界にない変わった物が出てくるので異世界を楽しめた。勝負のシーンはこちらも緊張するくらい見応えがあった」といった感想があがり、性別や年代を超えて楽しめる作品となったようだ。

(本ランキングは、7/10(金)、11(土)公開された新作映画8本を対象に、ぴあ編集部による映画館前での出口調査によるもの)

『バケモノの子』
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