『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』(C)2015 Universal Studios

映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』のブルーレイ&DVDが発売された。本作は、男女の禁断の愛を過激なシーンを交えて描いた衝撃作だが、全世界で大ヒットを記録し、6億ドルもの興収を叩きだした。本作はなぜこんなにも人々を魅了したのか? 過激だからか? そこに愛の本質が描かれているのか? 心理コンサルタントの晴香葉子氏は、このセンセーショナルな作品は観客の“共感”を集めると分析する。

その他の画像

本作の主人公アナは恋愛経験のない平凡な女子大生だったがある日、巨大企業の若きCEO、クリスチャン・グレイと出会い、恋に落ちる。グレイもアナに惹かれるが、彼が贈ったのは愛の言葉ではなく、身も心も絶対服従するという約束が書かれた契約書だった。晴香氏は、相手を契約書で支配しようとする人間は「実は人間関係に関する気の小ささ、器が小さいひとが多い」といい、「学校や会社など外では表向き強く見せているが、相手を拘束することで安心しているとも言えます」と分析する。

しかし、観客はグレイが単に相手を支配したい“だけ”の人間ではないことを知っている。晴香氏も「一見、若きカリスマ実業家で完璧に見えるがダメなところがあり、同情の余地もあるグレイに、ある意味親しみやすさを持ちやすい」という。もちろん、アナもそんなグレイの脆さや弱さを感じとっているが、自分のすべてを受け入れられず、相手のすべてを受け入れられないことに迷い、悩む。アナを「生き方も多様化し、女性も働くことが当たり前になり、結婚することは当たり前ではなくなった。雑多な情報があふれる現代社会で、言葉にはしなくても純粋な気持ちを持ち続けて生きている多くの女性にとって、ところどころ自分と重ねて考えることの出来るヒロイン像だと思います」という晴香氏は「愛すればこそ独占したいという本能的な感情は、共感できるものがあると思います」と語る。

この映画の設定は確かに少し過激かもしれない。しかし、相手を拘束して安心したい、自分のことも相手のこともすべて受け入れたいけど上手にいかない、という想いは誰もが共感できるのではないだろうか? 『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』は、観客の“非日常を覗いてみたい”という気持ちと、“共感”を両方満たすことで、圧倒的なヒットを導いたのではないだろうか。

『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』
ブルーレイ+DVDセット:発売中 3990円+税
完全無修正R18バージョン劇場上映版+EXTENDED版を同時収録

発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント