ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学vs聖ルドルフ ゲネプロより ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学vs聖ルドルフ ゲネプロより

テニミュ史上初キャストの聖ルドルフ副部長・ノムタクこと野村拓也(佐川大樹)が舞台上でペコリと客席に挨拶し、司令塔の観月はじめ(宮城紘大)は「んふっ」と笑い分析する──そこには原作世界が現実へとあふれだし、さらなる楽しさを目指す舞台があった。

ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学vs聖ルドルフ チケット情報

物語の軸はタイトル通り、青学(せいがく)こと青春学園と聖ルドルフ学院の試合。しかし、これは全国中学生テニストーナメント東京都大会・準々決勝戦であり、原作では不動峰中学校と氷帝学園中等部の試合も行われている。今回の公演はそれらの場面も折り込まれたことが新しい! 

初ダブルスを組む桃城 武(眞嶋秀斗)と海堂 薫(佐奈宏紀)が新曲を披露、そこに不動峰の伊武深司(健人)と神尾アキラ(伊崎龍次郎)が登場し、彼らも今、試合に臨んでいるのだと観客に伝える。あるいはステージを立体に使い、ダブルス1とダブルス2の試合に挑む8人の選手がクロスして対峙、同時進行するふたつの戦いを表現する。

攻めた演出のなか、もちろんドラマも描かれる。ゴールデン・ペアと呼ばれる大石秀一郎(石田隼)と菊丸英二(本田礼生)の弱点と絆。不二裕太(大原海輝)の兄への意地、その弟を思う天才・不二周助(神里優希)の怒り、初試合となる越前リョーマ(古田一紀)の圧倒的な強さと輝き……そして、なんと! 不動峰の橘 桔平(青木空夢)の過去と氷帝の宍戸亮との試合までも盛り込まれ先へと続く物語を期待させる。

新曲7曲を含めた全21曲を熱唱し、初日ゲネは終了。囲み取材にはキャストを代表して5人が登壇した。

神里「兄弟ふたりのシーンに特別な思いを持っています」、宮城「(聖ルドルフの)チームとしての新曲に注目してほしいです」、大原「裕太の思いが込められた楽曲も聴いてほしいです」、青木「かっこいい演出が多くて勝手にプレッシャーを感じています!」とそれぞれに思いを語り、最後に「ひとりのテニミュファンとして純粋におもしろいと思う演出が詰まっています。毎公演、全力でやりますので、いつでも観に来てください!」と主演の古田。その言葉通り、新たな試みと驚きに満ちた舞台は東京から宮城、愛知、大阪、福岡をまわり、11月3日(火・祝)の東京凱旋公演大千秋楽まで全44公演が上演される。

取材・文:おーちようこ