『Spotlight』 Courtesy of TIFF

トロント映画祭もすでに後半に入っているが、今のところ最も高い評判を集めているといえるのが、トム・マッカーシー監督(『扉をたたく人』)の『Spotlight』だ。ジャーナリストと業界関係者向けの試写では、エンドロールが回り始めたとたん、大きな拍手が起こったが、その後に行われた一般観客を入れてのプレミアでも反応はすばらしく、知的で硬派な作品ながら、幅広い層に受け入られる映画であることを証明している。

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ジャーナリズムの世界を描く今作を、多くの批評家は『大統領の陰謀』と並ぶ傑作と絶賛。地元紙トロント・スターは、4つ星のうち3つ半の高得点を与えた。トロントに先立って、ヴェネチア映画祭、テルライド映画祭でも上映されて好評を得ており、今年のオスカーレースに向けて確実にはずみをつけていると言える。

映画は、ボストン・グローブ紙の記者たちを主人公にしたアンサンブル物。新しくやってきた編集長のもと記者たちは、カトリック教会で起きている未成年への性的暴行を調査し始める。彼らが暴いた事実は大きな反響を呼び、記事はピューリッツァー賞にも輝いた。

出演は、リーヴ・シュレイバー、マーク・ラファロ、マイケル・キートン、レイチェル・マクアダムス、ジョン・スラッテリーら。昨年の『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』で返り咲きを果たしたキートンは、この夏のヒット作『ミニオンズ』に声の出演もしており、新しく手にしたキャリアを順調に伸ばしているようだ。

『Spotlight』の北米公開は11月6日。

取材・文:猿渡由紀