古川雄大 古川雄大 撮影:木村正史

大人気マンガを原作に、2009年から昨年までにシリーズ4公演を上演してきたミュージカル『黒執事』。原作の持つ耽美で怪しい世界観を忠実に再現し、人気を博す舞台が、今回、古川雄大を主演に迎えて上演される。演目は、昨年上演された“地に燃えるリコリス”。コミックス初期シリーズの中でも特に人気の高い「赤執事編」を舞台化したもので、古川をはじめとする新キャスト、新演出、新たな楽曲で見せる。

「ミュージカル『「黒執事』-地に燃えるリコリス2015-」チケット情報

同シリーズを2度観たことがあるという古川も、その世界観に魅了されたひとりだ。「原作もアニメも見たことがなかったので、漠然としたイメージしか持っていなかったのですが、舞台を観たときに、スッとその世界に入り込んで没頭することができたんです。ふと“あれ?ここどこだっけ?”って思うような、ミステリアスで、エロティックな世界観で…、それでいてコミカルなところもある。すごく丁寧に、忠実に作られているなと思いました」と、その印象を語る。

シリーズ化もされ、好評を得てきた舞台への主演。大役を任された古川だが、プレッシャーを感じるどころか、前向きに捉えている。「劇場も作品も大きいので普段ならプレッシャーを感じるはずなんですが、“よし、やってやろう!”という気持ちになりましたね。多分、自分の中で目指すところが明確になってきたというのもありますし、いろんな舞台を踏んでステップアップできているのだと思います」

漫画やアニメを原作にした“2.5次元”の舞台はミュージカル『テニスの王子様』で経験済み。表現するうえでは「多少の違和感を意識して演じることが大事」と語る。「映像や現代劇はナチュラルに見せることで観る人がスッと入り込めると思うのですが、漫画を原作にした舞台は、その世界を再現するために、声の出し方とかも意識しないといけない。普通ならちょっと違和感のあることも沁み込ませて見せたいと思っています」

演じるのは、悪魔の正体を持つ万能執事・セバスチャン。2代目セバスチャンとしての意気込みは…。「前回までと別物を作りたいとは思いますが、それを意識して作るのではなく、自分が感じたままに作った結果、“別物のセバスチャンだね”って言われたいですね。メンバーも続投する方がいるので心強いとは思いますが、再演ではなく“新生”として、みんなで新しい作品を作っていきたいと思っています。変化を感じていただける舞台にしたいですね」

公演は、11月7日(土)から10日(火)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて上演。その後、宮城、東京、福岡でも上演される。チケットはいずれも発売中。

取材・文:黒石悦子