舞台『転校生』最終選考

平田オリザが脚本を手がけた舞台『転校生』が、本広克行による演出で、8月に紀伊國屋ホールで上演される。2015年以来の再演で、本公演はパルコプロデュースの若手俳優発掘プロジェクトとして、キャストは全員オーディションによって選出される。18歳から25歳までの男女を対象としたオーディションで、2128人の応募の中から一次審査を通過したのは男性73人、女性128人の計201人。そこから男子校版・女子校版各21人の出演者が決定する。5月上旬に東京都内で行われた、最終選考となる実技審査の様子を取材した。

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本作品は94年青山演劇フェスティバルで初演されて以来、高校演劇のバイブル的戯曲として知られている。ある高校生たちの一日が、平田戯曲特有の同時多発会話で繰り広げられる。他愛のない日々の会話の中に、彼/彼女らの日常と社会への好奇心、将来への不安などを垣間見る戯曲となっている。

この日は、組に分けて行われたオーディションのうち、ある1組を見学した。

緊張を和らげるため、出来るだけ多くの人の名前と顔を覚え、相手にも覚えてもらうことからオーディションが始まる。互いに自己紹介をした後、2人組になって、それぞれの片手を重ねる。手が離れないように注意しながら、相手を無言で押したり、引いたりして、体と空気を動かすゲームだ。本広はこのゲームを通じて、参加者の身体性と協調性をみているようだった。

次は、8~9人のグループに分かれて、ひとつのシチュエーションを静止画で表現するゲームだ。お題は“危機”。話し合いの時間が5分ほどあり、各チームが発表する。発想力もさることながら、それをいかに分かりやすく表現するかが問われている。交通事故の衝突の瞬間を表現しているチームや、パーティーゲームの“黒ひげ危機一発”を表すチームなどがあり、それぞれの個性がよく活かされていた。

トータルで40分ほどのゲームを終え、最後はひとりひとりのアピールタイムと、演出の本広による質疑応答が行われた。参加者の中には、舞台経験が豊富にある人もいれば、今回が初舞台となる人もいた。ダンスやスポーツ経験をアピールする人もいれば、自分の性格を強調する人、緊張のせいか涙声になる人もいた。全体的に穏やかな雰囲気で、笑いに包まれる場面も多かったが、本広の眼差しは鋭かった。最終的にどんな21人がオーディションに合格し、どんな舞台を見せてくれるのか。期待したい。

文・写真:五月女菜穂

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