自動運転中のVRエンタメを提案するアウディ・チャイナ

【上海発】 車を生産する自動車メーカーから、モビリティー・サービスを提供する会社に変わる――。6月11日から13日まで中国・上海で開催中の家電を中心としたエレクトロニクス製品の見本市「CES ASIA 2019」初日に行われた基調講演で、アウディ・チャイナのThomas Owsianski社長は宣言した。早ければ19年第4四半期に5Gの商用サービスが開始されるといわれる中国では、コネクテッドカーや自動運転の開発競争が活発だ。そんな中、アウディ・チャイナは新しい車内VRエンターテインメントのコンセプト「Holoride」を中国で初披露した。

アウディは、中国の無錫市と北京市でレベル4の自動運転車のロードテストライセンスを取得しており、自動運転技術やサービス開発に積極的。レベル4は、特定の場所で機械が全てを操縦し、操縦が困難の場合、人が運転するレベル。さまざまな条件下の運転操作を機械がコントロールする完全自動運転のレベル5の一歩手前だ。

Holorideは中国語で「浩来行」と訳され、車の移動を楽しむという意味。単なる移動手段としての車でなく、車内空間で楽しみながら移動できる車に変えるというアウディの意気込みが垣間見える。

Holorideは、一見すると車の後部座席に座る人がHMDを装着し、その中に映し出されたVRコンテンツを楽しんでいるという、何の変哲もないようなデモ映像に見えるが、リアルの車窓から見える風景とVRコンテンツが同期しながら映し出されるのが新しい。車の動きに合わせて、HMDで見ているVRの映像も動く。

例えば、車が横断歩道で止まって歩行者が渡るのを待っていれば、VR映像はそれと同期しながらアニメのキャラクターが横断歩道を渡るといったイメージだ。

デモ映像では、アニメーションのほか、HMDを装着した同乗者がコントローラーを持って宇宙空間で登場する飛来物をシューティングするといったゲームで楽しむ様子も披露された。こうした映像も、車の移動と同期しながら動く。

アウディでは、移動する際の「外の景色の動き」だけが同期するのではなく、座席の揺れやステアリングのフィードバックなど、リアルなボディタッチなどの車両のすべての動きがリアルタイムで同期されて仮想体験空間にマッピングされるようになるという。

よく展示会などで目にするVRのデモ映像では、視覚と映像の動きのズレなどによって生じる「映像酔い」などが指摘されるが、大容量・高速・低遅延の通信環境を実現する5Gのインフラを使えば、こうした課題は簡単にクリアできるのかもしれない。(BCN・細田 立圭志)

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