スティーヴ・マーティノ監督

世界中で愛され続ける“スヌーピー”初の3D映画『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』が明日から公開になる。監督を手がけたスティーヴ・マーティノは、原作コミックのテイストを可能な限り活かして3DCGで映画化することを目指したが、その過程はチャレンジの連続だったようだ。来日時に話を聞いた。

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チャールズ・シュルツが50年以上に渡って連載を続け、全世界で愛されている『ピーナッツ』を映画化するにあたり、監督をはじめとする製作陣は“原作に忠実に”映画化することを目指した。しかし、静止画で描かれているスヌーピーは3Dになった時、どうやって歩くのだろうか? スヌーピーはこれまでに何度もアニメ化されてきたが、監督たちは原作を何度も何度も読んで“映像手法”を開発するところから作業をスタートさせた。「どうやって描くのか方法を見つけ出すまでが一番大変でした。難しかったのは、コミックだと立っている時にはまっすぐに描かれている腕や足が、動きのあるコマでは意外に丸みを帯びていたりすることでした。そのために各キャラクターのパーツごとに複数のバリエーションを作成して、スタッフ感で共有するシステムをゼロから作り上げたのです」

スタッフの苦労は背景にも及んだ。コミックの『ピーナッツ』では背景がほとんど描かれていないが、映画で背景を真っ白にするわけにはいかない。「映画になってもシュルツさんの描いたレイアウトやカメラのサイズは守りたいと思いましたし、原作に背景がないのは、キャラクターをしっかりと見せるためなので、映画でもキャラクターがしっかりと目立つように画面を設計して、背景を組み立てていきました」

コミックを徹底的に研究し、CGモデルの組み立てを基礎から考えなおし、全カットに渡って原作のテイストが貫かれているかチェックし、問題があれば手法から新たに開発する。その作業は途方もないものだが、マーティノ監督は「スタッフ全員の“まだやったことがないことに挑戦したい”と想いがすべての原動力でした」と笑顔を見せる。「スタジオには熟練の職人たちが集まっていますが、新しいことにチャレンジできるチャンスはキャリアの中で、そう何度もあるものではないですからね。私たちは、みんなスヌーピーが大好きでしたし、若い頃にシュルツさんのコミックを読んで、様々なことを勉強させてもらった“恩”もあります。だから私たちは映画をつくることで、まだスヌーピーを知らない子どもたちに楽しんでもらいたいという想いがつねにありました」

インタビュー中、監督は何度も「コミックが映画づくりの聖典=バイブルでした」と笑顔で語った。映画『I LOVE スヌーピー…』は、原作を愛し、尊重してきたスタッフのこだわりと想いがギッシリとつまっている。

『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』
12月4日(金) 2D・3D全国ロードショー