『ディーン、君がいた瞬間(とき)』Photo Credit:Caitlin Cronenberg. (C)See-Saw Films

デイン・デハーンが新作映画で自身が一番好きな俳優だというジェームズ・ディーンを演じている。あまりにも愛し、尊敬しているため、最初はオファーを断ったという彼は、どのような過程を経て映画『ディーン、君がいた瞬間(とき)』に出演することになったのだろうか?

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本作は、無名の新人俳優のディーン(デハーン)と、駆け出しの写真家デニス・ストック(ロバート・パティンソン)の交流と、知られざるディーンの素顔を描き出した作品だが、彼は「彼を映画の中で演じるというのはかなり怖いことだった」と振り返る。「僕は常にインタビューで、自分は最もやりがいがあり、最も困難な、自分が恐れる役をやりたいと話しているのに、実際にそれを突きつけられると『お断りします!』って怖じ気づいていたんだ」

妻やマネージャーの後押しもあって役を引き受けた彼は、ディーンの残した映像や音声を徹底的に研究し、体重を増やして役づくりを開始した。ディーンは話し方も特別なら、人に対する距離感も特別で、デハーンは「彼はガードが堅いと思う。自分の事は自分で守らなければいけないと思っていて、それは母親の悲劇的な死があったり、若いときに父親に追いやられたりといった経験が関係していて、ハリウッドがビジネスだとわかっているけど、自分はアーティストとしていたいから、ハリウッドの機械的な一部になるのに抵抗していたんだ」と分析する。

映画ではそんなディーンとストックが次第に打ち解けていく過程が繊細なタッチで描かれる。同時に、やがて若くしてこの世を去るディーンが、どれだけ“唯一無二”の存在だったかもデハーンの演技によって伝わってくる。「ジェームズ・ディーンは、俳優界の開拓者だったと思うんだ。見た目がキレイなだけではなくて、演技の基準も高めることで、後世の俳優に影響と刺激を与えたんだ。少なくとも僕は彼からすごい影響を受けていて、彼のようにリアルな演技をしたいと思っている。そういう意味で彼はすごくオリジナルな存在だと思うよ」

一方で、デハーンは、唯一無二の名優と自身の間に、いくつかの共通点を見出しながら、演じたようだ。「色んな意味でこれまでのどの役よりもパーソナルなレベルで共感できたと思う。これまでのどの役よりも共感できたよ。もちろん多くの共通点があると思う、特に彼の人生で今回、焦点が当たっているひとコマと、撮影中の僕の人生のひとコマがね」

『ディーン、君がいた瞬間(とき)』
12月19日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開