(画像左から)篠山輝信、柄本時生 撮影:山本祐之

「中二の時は『どうやって童貞を捨てよう?』ってことばかり考えていましたね」――。柄本時生が真面目にそう語れば、篠山輝信はその言葉にうなずき「当時は“中二病”なんて言葉はなかったけど、まさにそれ!世界の中心にいると思ってました(苦笑)」と14歳の頃を語る。

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2017年の初演に続く再演舞台『チック』で彼らが演じるのが、無断拝借した車で旅に出る14歳の少年たち。29歳(柄本)と35歳(篠山)の大人が演じるからこそ見えてくるものとは? ふたりに話を聞いた。

ドイツ人作家ヴォルフガング・ヘルンドルフによる児童文学を原作に、世界中で上演されてきた本作。サエない少年・マイク(篠山)とロシア移民の転校生・チック(柄本)の冒険を描く。

演出の小山ゆうなは、柄本と篠山の関係性を「お芝居のアプローチが正反対。だからこそバランスがいい」と評する。冷静に計算し組み立てる“静”の篠山と自由気ままな“動”の柄本。この関係は、マイクとチックという役柄そのまま。篠山は「ヘルンドルフさんのあて書きなんじゃないか?」と笑い、「僕は“これをしてはいけない”という枠組みから始まるので、柄本さんの自由さに憧れます。劇中に出てくるラジコンカーが、初演の本番中に故障したことがあったんですけど、スペアがあるのを知ってて、うまく入れ替えたんです。僕としては“危機を救った”くらいの気持ちだったけど、柄本さんは“あれはそのままやった方が面白くない?”って(笑)。今回もさっそく稽古場で、初演で1度もやらなかった動きをして僕らをビビらせてます」と語る。

一方、柄本は「篠山さんが絶対にぶれないし、フレームの中にきちんといてくれる。それってすごいことなんです」と篠山の存在感が動かずにあるからこそ、自らは自由を得ていると彼への信頼を口にする。柄本がここまで気儘に動けるのは、小山の演出によるところも大きいようだ。柄本曰く「小山さんは“チックはロシア移民で、ケンカが強くて、こんな性格で…”と玄関とドアノブだけ作って“あとはお願いします!”という、極論と言える演出をする人(笑)。それは、毎回、同じことをやってもいいし、やらなくてもいいということでもある。すごく怖いことをされるなぁって思います」

14歳という設定に囚われることはない。篠山は「設定上、14歳だけど何歳にもなり得るし、誰もが“当事者”になりうる物語。実際の年齢と離れている僕らが舞台で演じるからこそ、幅広い層の人の心に響くんじゃないかと思います。どこにも居場所のないふたりが、旅を通して“変な”他者と出会っていく姿が面白いと思います」と語る。

社会から疎外されたふたりが旅の末に手にするのは希望か? それとも…。

「チック」は7月13日(土)よりシアタートラムにて上演。

※手話付公演あり。
※公演期間中、『チック』に登場する不思議な少女、「イザ」を主人公とした作品、『イザ ぼくの運命のひと / PICTURES OF YOUR TRUE LOVE』リーディング公演あり。

取材・文:黒豆直樹

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