ただし、ロケハン写真がそのまま背景になるわけではない。
「写真はあくまで参考。写真では浮き立たないものを、絵として再構築し、印象的に見せることでアニメーションの背景が出来上がっているのです」

実在の風景が描かれるだけでなく、それが魅力的な絵だから心に残る。だからファンはその場所を訪ねたくなる。近年は〝聖地巡礼〟と称して熱心なファンが舞台となった土地を訪ねることも増えた。賑わい創出の観点からそれに対応する地元自治体なども増えている。本作も、映画のモデルになった場所を含む観光マップが用意されている。 


 



 「上映後『ももたちがいた場所に行ってみたい』と思ってもらえるような映画を作りたいとは考えていました。とはいえ、一時の話題としてヒートアップするのではなく、長く静かにファンに親しみを持ってもらうような状況になると
うれしいのですが」 

制作側の狙いと自治体の思惑の思わぬ合致。4月からは伊豆の下田を舞台にしたアニメ『夏色キセキ』も始まる。「ご当地アニメ」というトレンドはまだしばらく続きそうだ。