毒親、虐待、過保護、過干渉、放任など、親子関係の問題を指摘する言葉があふれている昨今、これらの現象の背景には「親なら自分の子どもを好きなように扱ってもいい」という考えがあるように思えます。

今日は、『グローバル社会に生きる子どものための-6歳までに身に付けさせたい-しつけと習慣』の著者で、日本と欧米の優れた点を取り入れたしつけを提唱している平川裕貴が、“子どもは親の所有物”なのか、欧米の考え方を参考に語りたいと思います。

“お腹を痛めていない子”を育てる社会での「子ども」

欧米では、子どもができない夫婦や経済的に恵まれた家庭が、親を亡くしたりして施設に預けられている恵まれない子どもを、養子として迎えることは珍しくありません。

もちろん、養子が多い理由は、アメリカの離婚率の高さやドラッグやアルコール中毒などで、家庭に恵まれない子どもが増えているという背景があるのですが、ある意味感心するのは、養子として受け入れた子どもも、ほとんどの場合、たとえほかに実子がいても、実子と変わらぬ扱いを受けて育てられると言うことです。

また必ずしも同じ民族からだけではなく、白人の家庭が、アフリカ人やアジア人の子を養子に迎えたりもします。有名な女優のアンジェリーナ・ジョリーさんの家族写真を見れば、それがとてもよくわかります。

日本では「お腹を痛めたわが子」などの言い方があるように、お腹を痛めていない子どもはあくまでも他人ですね。そのような日本人の感覚からすれば、自分の子供と養子を分け隔てなく育てるのは難しいのではないかと思ってしまいますが、欧米の人達にはあまりそういう危惧はないようなのです。

どうして養子を、しかも民族まで違う子どもを、わが子と同じように育てられるのでしょうか? その根本には、“子ども”というものに対する考え方の違いがあるように思います。