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『アナと雪の女王』『ベイマックス』のディズニー・アニメーション・スタジオの最新作『ズートピア』が4月23日(土)から公開になる。そこで、カリフォルニアにあるウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオで取材を行い、観客の心をとらえて離さない『ズートピア』の物語の“核心”に迫った。

『ズートピア』/動画

本作は、一人前の警官になることを夢見るウサギのジュディと、キツネの詐欺師ニックが、ズートピアの運命を左右する大事件の解明に挑む物語だ。

ディズニーでは、“ストーリー”と“キャラクター”が最も重視され、観客を魅了するものが満足できるまで何度も何度もアイデアが出され、脚本が書き直される。スタッフはまず、アフリカのケニアなどに出向き、動物の生態について学んだが、いくつかのシーンでは実際の動物の生態と“正反対”のキャラクターを登場させた。共同監督と脚本を手がけたジャレド・ブッシュはその理由を「観客に“先入観”や“偏見”を持つのは良くないと伝えたかったから」と説明する。「サファリに行って『人間にとって最も危険な動物は何だと思いますか?』と質問すると、多くの人がライオンと答えますが、実は最も危険なのは水牛とカバなんです。でも多くの人は、ライオンの鋭い牙を見て『あの動物が最も恐ろしい!』と思ってしまいます」

当初、本作の主人公はキツネで、肉食動物である彼が改心していくドラマが描かれる予定だったが、夢を追う前向きなウサギのジュディが、正反対の性格のキツネとコンビを組んで行動する中で、自分の中にある“偏見”や“先入観”に気づき、変化していくドラマに書き換えられた。監督を務めたリッチ・ムーアは「かつて僕が学んだことで、ジュディも学ぶことだけど、世界をより良い場所にするための最良の方法は、自分自身を見つめることなんだ」と言い、同じく監督のバイロン・ハワードは「彼女はずっと同じではない。変化し、進化し、間違いを犯して、もっと完全なものになるんだ」という。

観客はこの映画を楽しみながら、同時に私たちがいかに“偏見”や“先入観”を無意識的に持っていて、それに囚われているかに気づくだろう。ブッシュは「最初から“偏見”についての映画を作ろうとしていたわけではない」と語るも、「動物について調査し、物語づくりをする中で、昔ながらの偏見や差別ではなく、現代の“偏見”が描けると思うようになった」と説明する。

言うまでもなく『ズートピア』は楽しく、最後の最後までワクワクできる。しかし同時に、映画を観終わった後に思わず胸に残るような、じっくりと考えさせられるようなテーマも描かれているのだ。

『ズートピア』
4月23日(土)全国ロードショー