堂島孝平と菜月チョビ 堂島孝平と菜月チョビ

結成15周年を迎える劇団鹿殺しがこの夏、初のサンシャイン劇場に挑む公演『名なしの侍』。この出演者欄を見て、「堂島孝平」という名前に驚いた人も多いのではないだろうか?

劇団鹿殺し『名無しの侍』チケット情報

「僕もオファーが来て驚きました(笑)」(堂島)

「サンシャイン劇場という大きな劇場で音楽劇をやるからには、しっかり歌える方をお呼びしたいな、と。探しているうちに、ふと堂島さんのお名前が挙がって。ライブを観に行って、一発で『この方と一緒にやりたい!』と思いお願いしたんです」(座長・菜月チョビ)

客席の雰囲気を捉えながら行うMCの様子が、菜月いわく「演劇的だった」のだとか。そしてそのオファーを快諾した堂島も、実はここ10年劇場によく足を運んでいる“演劇好き”。

「でもそれは、あくまでもいち観客だったので……まさかこうした舞台で、自分が俳優として出演するなんて考えてなかったです(笑)。しかもふたを開けてみたら15周年記念だって言うし」(堂島)

「重いですよね(笑)」(菜月)

「ただ最近、映画に出演させていただいたり、映像作品を作ったりと音楽以外の活動のお話をいただくこともあって。それはそれで音楽とはまた違う『新しい表現』として楽しんでいたんですよね。今回も、チョビさんと(座付き作家の)丸尾丸一郎さんが『やれます』っていうし、じゃあやりましょうと。『Yes』から入るのが仕事の基本スタンスです(笑)」

 劇団の名前は知っていたが、作品を観たのはオファーが来てから。初めて鹿殺しの作品を観て感じたのは “シンパシー”だったという。「ジャンルとかイメージにとらわれず、オリジナルなものを成し遂げてやろうという気概が感じられたというか…僕自身、音楽業界の中でそういう風にやってきたので」(堂島)

また今作は、劇団鹿殺しにとっても久々となる時代劇作品。

「私にとって時代劇は、今よりも生きている実感が強くて、熱量の高い時代の物語。夏の公演だし、日常からポンと離れた部分でお祭り気分を味わって欲しいな、と」(菜月)

「僕、時代劇めちゃくちゃ好きなんで嬉しいんですよ!」(堂島)

「多分、堂島さんのほうが鹿殺しメンバーより時代劇に詳しいですよ(笑)」(菜月)

サンシャイン劇場は劇団鹿殺しが近年主戦場としてきた本多劇場に比べ、およそ倍のキャパシティとなる。そう、この公演は15周年にして挑む“大勝負”でもあるのだ。

「勝負を打つのって、カッコイイじゃないですか。誰でもはやれない挑戦をしてくれるってのが、劇団鹿殺しらしさだな。だから応援したくなる。」(堂島)

 鹿殺しの作品が訴えかける“切実さ”は、いつも観客の心を揺さぶる。そんな彼らが満を持して挑む大舞台、冒険することをためらいがちなこんな時代だからこそ、その生き様をその目で見届けようではないか。

公演は7月16日(土)から24日(日)まで。

取材・文:川口有紀