『サウスポー』(C)2015 The Weinstein Company LLC. All Rights Reserved.

『プリズナーズ』『ナイトクローラー』のジェイク・ギレンホールが再起にかけるボクサーを演じた映画『サウスポー』の本編映像が公開になった。キャスト、スタッフがリアリティを求めて撮影したボクシングのシーンで、“痛み”まで伝わってくるようなリアルな映像だ。

『サウスポー』本編映像

本作は、自分の過ちで妻を失ったライトヘビー級元世界王者のボクサーのビリーが、娘との絆を取り戻すため、これまでの自分と向き合い、再びリングへ上がろうともがく姿を描いたヒューマンドラマ。ギレンホールのほか、レイチェル・マクアダムス、フォレスト・ウィテカーらが出演する。

このほど公開になったのは、映画の冒頭に登場するビリーの試合シーン。マディソン・スクエア・ガーデンには観客がつめかけ、その視線は会場の中央にあるリングの中で打ち合いを続けるビリーと対戦相手に注がれている。相手は長いリーチとスピードをいかして的確にパンチを打ち込むが、ビリーはそれらをすべて受け止めながらも不敵な笑みをうかべてリングで悠々とステップを踏んでいる。相手のパンチがあたれば身体が一瞬、グラリと揺れ、汗が飛び散り、口元に血がにじむ……本当にボクシングの試合が行われているような生々しい映像だ。

本作の監督を務めたアントワーン・フークアは、『イコライザー』などを手がける才人だが、ボクサーだった経歴があり、ギレンホールには「カメラはあらゆる瞬間を捉える。だから君が疲れていたり、気絶したり、嘔吐したりすれば、それは映画に映ることになる」と伝え、徹底的に“本物”であることにこだわった。撮影は大学のホールで行われたが、実際の試合と同じように装飾が施され、会場と同じ照明だけを準備し、撮影用の照明の追加や補正は行わなかった。さらに撮影時には本物の試合と同じように3分のラウンドを行い、複数台のカメラで撮影。ギレンホールは、本物のボクサーと同じように“ゴングが鳴るまでは誰にも頼れない”状況に追い込まれた。

ギレンホール演じるビリーはこの後、家族や地位を失い、さらに追い込まれるも、再起を誓う。すべてを失った男の表情、それでも諦めない男の決意の眼差し……本作のドラマを描くため、試合をリアルに描くことは“必須条件”だったようだ。

『サウスポー』
6月3日(金)ロードショー