熱中症予防のはずが“水中毒”!?

では、水分を摂れば安心かといえば、摂り方も重要になります。一度に多量の水分を摂れば、水分で体を冷やしてしまうだけでなく、体内の塩分濃度が下がり、体液バランスを崩すなどして”水中毒”になることも。

水を飲んだだけなのに“気持ち悪い”、“頭痛がする”、なかには“痙攣”や“昏睡”状態になって命を落とすこともあります。

水分補給は、例え激しい運動をしたとしても1時間あたり800cc軽い運動でも400ccで十分と言われています。それ以上飲むと、体内で水本来の働きが出来なくなってしまうのです。

また、あまり汗をかいていないのに、糖分や塩分の高い飲み物を飲むと、肥満や高血圧、糖尿病のリスクを高めます。むやみにスポーツドリンクを飲むのではなく、ミネラル入りの麦茶や、水にレモンの輪切りを入れたレモン水などで、ビタミン、ミネラルを補給するようにしたいですね。

体に負担ない水分摂取は1日何回? いつのタイミング?

では、熱中症予防にも、水中毒予防にもなる水分摂取はどのようにすれば良いのでしょうか。

それは、“こまめに1回あたりコップ1杯ほどを飲む”ことが重要。

喉が渇いてから飲むのは、すでに2%ほど体内で水分が枯渇している状態。

1日の水分摂取目安量2Lを、朝起きた後、食事中、日中の食事と食事の間、お風呂の後、夜寝る前の7〜8回に分けて飲むといいですね。

1日の水分摂取が3L以上になると、水中毒のリスクが高まるので、トータルでどれくらい飲んだかも忘れずに!

通常の生活をしていれば、熱中症予防と水中毒予防を考え、1.5〜2L程度をこまめに飲むようにしたいもの。

激しく体を動かすことが多ければ、消費エネルギー1kcalあたり1mlの水分が必要となるので、2,500kcal/日消費するのであれば、2,500ml/日摂るように意識してみてください。

そして、暑い時や、運動後はキンキンに冷えた水を飲みたくなりますが、10℃くらいの温度が、美味さを感じやすく、また体への吸収も早まります。

激しい運動の際は汗から電解質も抜けてしまっているので、水の吸収を高める糖分や、電解質の元となる塩分を加えるといいですね。

いかがでしたか。今回はこの時期に気をつけたい水の摂取方法についてご紹介いたしました。家にいても起こる熱中症。特に年配の方は暑さにも、喉の渇きにも感覚が鈍ることがあるので、家族が気にして空調管理や水分摂取を行うようにしてくださいね。

こまめに飲んで、トイレも我慢せず行くようにして、体内水分の出し入れをきちんとすることが熱中症、水中毒の予防になります。

 

 

株式会社Luce 代表取締役 管理栄養士、山野美容芸術短期大学講師、服部栄養専門学校特別講師、日本臨床栄養協会評議員、ダイエット指導士、ヨガ講師、サプリメント・ビタミンアドバイザーなど栄養・美容学の分野で活躍。書籍を3冊出版。本サイトではヘルスケア、食事・栄養、美容系を執筆。