ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』 ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』

今年で36年目となる、ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』が、7月24日、東京国際フォーラム ホールCで開幕。その前日に、マスコミに加え子供たちも招待された公開ゲネプロが行われた。

ミュージカル『ピーターパン』チケット情報

主演は、9代目ピーターパンとして4年目の出演となる唯月ふうか。ゲネプロ前の囲み取材では、「夏と言えば『ピーターパン』。自分の中の原点の作品なので戻って来れて嬉しい。9月で20歳になるので、集大成のような気持ちで頑張りたい」と語った。また、本作の見どころともいえるフライングは、4度目ということで「成長した」そう。「お客さんの『飛んでる!』っていう顔が見えると、『いいだろう!』とピーターパンのような気持ち」と笑顔を見せた。

ある夜、ピーターパンと出会ったウェンディは、ピーターに誘われ、ふたりの弟と一緒に、いつまでも子供でいられる“ネバーランド”へ連れて行ってもらう。そこで、ピーターやそこで暮らす迷子たちと楽しい時間を過ごすが、いつしかお母さんが恋しくなり帰ることに。しかし、フック船長率いる海賊たちが、ウェンディを自分たちの“お母さん”にするために連れ去ってしまう。それを知ったピーターパンはティンカーベルとともに海賊船へむかう――。

まるで絵本のようなかわいいセットの中で、お馴染みのキャラクターたちが、歌い、踊り、空を飛ぶ。タイガー・リリーやインディアンたちは抜群の身体能力でバク天やバク宙をしながら動き回り、フック船長や海賊たちがどこか間の抜けた“悪さ”を仕掛けて失敗し……次々と目の前で広がる世界に、子供から大人まであっという間に引き込まれてしまう。音楽もキャッチ―で、子供たちは幕間でもう1幕の曲を歌っていた。

唯月が「優雅だと思っていただけるように飛びたい」と話したフライングは、実に滑らかな動きで“釣られている”と感じさせない。ピーターパンがふわりと空に舞い上がり、魔法の粉を散らすと、客席からは「わぁ!」と歓声が上がっていた。

遊ぶのが大好きなピーターパンを唯月が心から楽しそうに演じるので、観ているだけでワクワクした気持ちになる。吉野圭吾の新・フック船長も本当に魅力的で、最後のピーター対フックのシーンの華やかさはさすがだった。

幼い頃から知っている人が多いストーリーだが、大人になって観てみると実は胸に刺さるエピソードがそこかしこに隠れている。子供はもちろん、大人同士でも楽しめる作品だ。

公演は、8月3日(水)まで東京・東京国際フォーラム ホールC、8月17日(水)に大阪・梅田芸術劇場メインホールにて。

取材・文・撮影:中川實穗