城田優 (撮影:西村康) 城田優 (撮影:西村康)

シェイクスピアの愛の悲劇をロック&ポップな音楽で纏い、さらなる情熱の舞台へと再生したミュージカル『ロミオ&ジュリエット』。世界で500万人以上を動員した超大作のフランス・オリジナルバージョンがこの秋、日本に初上陸する。5月21日には、作詞・作曲家ジェラール・プレスギュルヴィックや来日メインキャストが登場して華やかに記念イベントが行われ、スペシャルゲストも登場。昨年の日本オリジナル版でロミオ役を演じたこの人、城田優だ。

フランス招聘版 ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」チケット情報

「オフィシャルサポーターなのに僕が一番緊張しました!」と苦笑する理由は、オリジナルバージョンのロミオ役シリル・ニコライとジュリエット役ジョイ・エステールとともに、名曲『エメ』をフランス語で歌ったため。本場のふたりに負けない存在感で情感あふれる美声を披露し、日本オリジナル版初演の感動を思い起こさせてくれた。「難しかったけど、やっぱりジェラールさんの音と言葉がハマっている一番美しい形だと思う。今度の舞台ではその最高の響きが楽しめるんじゃないかな」。

イベント準備のために楽曲を聴き直し、またリハーサルで来日キャストの歌声を聴く度に、感動して涙したという。「自分がロミオを演じた時の苦しみやせつなさ、また幸せな感覚が甦ってしまって。僕自身がもう十年も前から『ロミオの役を演じたい』と言っていたくらい、この作品に興味と憧れを持っていたんですね。こんな運命的な恋の話をやってみたい!と。フランス版の映像を観た時、ジェラールさんの音楽がさらにその思いを押し上げてくれた。演じられて幸福でしたし、いよいよ今度、オリジナルの生の舞台を観られることが本当に嬉しいです」。

イベントではスマートに来日キャストの面々をエスコートしていた城田。ジョイが城田と同じくスペインとのハーフであることで話が盛り上がり、楽屋裏ではスペイン語と英語が飛び交ってフレンドリーに会話が弾んだとか。ジョイはこの作品においてすでに5年もジュリエット役を担っており、日本版とはひと味違う大人の魅力が期待できそうだ。「僕らが若さと勢いで作り上げた世界観と、セクシーで艶やかな声で魅せるフランス版の大人のエンターテインメント。その違いも存分に楽しめると思いますね。注目はクライマックスのふたりが死にゆくシーン。僕が毎回演じながら自然と涙が出てしまったそのシーンを、どのような心情で歌い上げるのか非常に楽しみです。客席でそれを観ながら僕は間違いなく泣いていると思いますけど(笑)」。

日本版が再演される場合、「またロミオをやらせていただけるなら全身全霊で務めます」と答えた城田だが、もしロミオ役以外を選ぶならと質問すると「ティボルト! 光のロミオに対して陰のような存在ですよね。危険な、セクシーな雰囲気を出して演じてみたい。いつか絶対に!」と意外な告白。「そんな野望を持ちつつ(笑)、まずは貴重なオリジナル・バージョンの舞台で、何百回聴いても飽きることはない音楽の世界にどっぷり浸りたいと思います」。 公演は10月6日(土)に東京で開幕後大阪を回る。

文:上野紀子