スマホニーズの二つの変化がmicroSD需要を喚起している

今年の春、ついに従来型の携帯電話の普及率を上回ったスマートフォン。2016年3月末時点で販売台数の67.4%を占め、生活インフラとしてのポジションを確立しつつある。ユーザーの拡大は、スマホニーズにも変化をもたらしている。変化は大きく分けて二つ。大手3キャリア以外のMVNO(仮想移動体通信事業者)の登場による「サービスの多様化」と、端末の性能向上による「データの大容量化」だ。この二つの変化によって需要が増しているのが、microSDカードだ。

SIMフリーの台頭で存在感高まるmicroSD

「サービスの多様化」の最たる例が、SIMフリースマートフォン(スマホ)だ。16年8月の販売台数前年比は153.3%で、急速に支持層を拡大している。政府がMVNO各社の市場参入を推進していることもあり、今後も継続的な成長が予想される。microSDカードの販売台数前年比も123.0%と好調で、SIMフリー市場の成長を追い風に存在感を高めている。

SIMフリーを選択するユーザーは、格安プランに合わせて、手頃な価格帯のモデルを選ぶことが多く、内蔵ストレージ容量は少なくなりがちだ。SIMフリースマホの8月の売れ筋トップ10をみても、キャリアショップで人気の64GBや128GBのモデルではなく、8GBや16GBが主流になっている。

内蔵ストレージの容量不足という問題を解決するために、活用されているのが、microSDカードだ。もともと容量の大きい端末を購入するよりコスパがよいので、端末の購入基準として「SDカードスロットの有無」を挙げるユーザーも多いようだ。

スマホ性能の向上でデータ容量が倍増

microSDによるストレージ拡張が急増している、もう一つの要因が「データの大容量化」だ。カメラで撮影した写真1枚をとっても、数年前といまでは段違い。動画ともなればなおさらで、フルHD動画の4倍の解像度をもつ4K動画はデータ容量も大きい。最近では、周囲の景色を丸ごと映像に収める360°動画がトレンドに浮上しており、撮影データ容量の増大傾向はますます加速しそうだ。

また、グラフィック性能やCPUの向上が、スマホで処理できる可能領域を押し広げたことで、アプリ自体の容量も飛躍的に大きくなった。microSDを利用すれば、本体を圧迫するデータサイズが大きいアプリを外部に逃しておくことができる。手軽に他のスマホやPCにデータを移行・バックアップできることもメリットだ。スマホを乗り換える際にも、microSDがあれば安心度は高い。

録画したテレビ番組や音楽データをmicroSDに保存して、スマホで視聴する楽しみ方も浸透してきた。これらのデータは膨大で、本体に直接取り込んでいては時間も手間もかかってしまうが、microSDなら簡単だ。