(3) しつけとは、繰り返し教えて待つこと

しつけというと、厳しく叱るというイメージがあります。

しかしこの本によると、本来のしつけとは、トイレや食事の仕方などを繰り返し教えて、あとは子どもが自分で実行するのを待つことだといいます。

たとえばトイレトレーニングで「おしっこが出るまで立っちゃダメ」というような、強制を伴うしつけをすると、成功は早くなりますが、自律性(自分で自分の衝動や感情をコントロールすること)が育たないのだとか。

時間がかかっても、子どもができるようになる時期を焦らず待つことで、子どもは自律心を養っていけるのだそうです。

(4) まずは親が幸せに

思いやりのある子に育てたい。
それは多くの親に共通する願いでしょう。

しかし、親が思いやりを持っていないと、子どもに思いやりは育ちません。

そんな見落としがちな真実を、この本は教えてくれます。

さらに、幸せな人ほど相手を思いやることができますが、不幸な人ほど、他人の不幸を見て安心してしまう傾向がある、ということも。

子どもにとっての良い見本となり、共感力や思いやりを持った子どもに育てるためには、まず親自身が幸せでいなければいけないのです。

読むうちに、じんわり涙腺がゆるんでくるワケ

以上、今回は4つの点に絞ってご紹介しましたが、厚みのある一冊の中には、ほかにも、育児に関する新鮮な視点や感動的なエピソードが満載。

読み進めていくうちに、じんわり涙腺がゆるんでくるのは、おそらく、すべてのメッセージが、かつて子どもだった親も含めた“子どもたち”への温かいまなざしであふれているからなのでしょう。

子どもの頃、親の期待に応えようと必死で勉強や習い事をがんばってきたママは、「もっとありのままの自分を認めてほしかった…」という想いから、切なくなってしまうかもしれません。

そんなママも、本を読んでその教え通りに子どもに接することで、のびのびとした子ども時代を生き直し、心を解放できるのではないかと思います。

現代の生活では、すべてこの本の通りにすることは難しいかもしれませんが、子育てに悩んだときに原点に帰るために、そばに置いておきたい一冊です。

京都在住ライター。私大文学部を卒業し、会社勤めを経てフリーライターに。東京都内で活動した後に、京都市左京区に引っ越し出産。その後は京都で子育てをしながらライター業を続ける。インタビュー・取材記事をはじめ、カルチャー、ヘルスケア、生活などのジャンルで幅広く執筆。