劇団四季『壁抜け男』 撮影:石阪大輔 劇団四季『壁抜け男』 撮影:石阪大輔

劇団四季『壁抜け男』が9月27日(火)、東京・自由劇場で開幕する。フランス生まれの小粋なミュージカル。前日の26日には最終舞台稽古が報道陣に公開された。

劇団四季『壁抜け男』チケット情報

20世紀中ごろのパリ・モンマルトルを舞台に、『シェルブールの雨傘』で知られるミシェル・ルグランの音楽が彩る、パリのおしゃれな雰囲気が全編にまぶされた作品。ひとりの平凡な公務員・デュティユルが、ある日突然、壁を通り抜ける能力を手に入れたことから物語は始まる。その能力に戸惑い、普通に戻りたいと悩みながらも、ひとりの薄幸な人妻への恋心から彼はとある行動を起こし……。親しみやすい笑いとしみじみとした切なさが上品にミックスされ、終盤には人生の愛おしさに思いを馳せられる、てのひらで優しく抱きしめたくなるようなミュージカルだ。

日本では1999年に初演、これまでに500回以上の上演を重ねている作品だが、東京公演は約2年ぶり。この日、主人公のデュティユルとして登場したのは飯田洋輔。『美女と野獣』の野獣役なども務める安定感のある美声と、にじみ出る実直そうな人柄が、優しくもどこか孤独感のあるデュティユルにぴったりだ。近年ではこの作品の“顔”となっている飯田だが、丁寧な人物造形でフレッシュさも失わず、愛すべき主人公を創り出していた。その飯田は「ミシェル・ルグランによる洗練されたナンバーで綴られる本作。素晴らしい音楽にのせて、壁を通り抜ける力を手に入れた男の恋の行方を描きます。“人生は素晴らしい”というメッセージが溢れた作品の感動を、お客さまの心へお届けできるように務めたいと思います」とコメントを発表。11名のキャストと3名のバンドで贈る、アットホームな暖かさのあるミュージカル。派手ではないが、音楽の美しさと物語の素晴らしさを心ゆくまで堪能できる上質な作品を観たい人は、ぜひ劇場へ。

公演は11月13日(日)まで、同劇場にて。チケットは発売中。