初めての妊娠・出産には、どんな女性も不安がつきもの。初めてではなくとも、つわりの程度や妊娠期間のトラブル、出産は、同じ女性であっても毎回違うため、いつだって心配事が絶えません。

そんなときに頼りにしたいのは、やはりパートナーの存在です。でも、その肝心のパートナーが理解を示してくれなかったり、妊娠や出産を軽く見ているような発言をしていたら、不安はより大きくなり、孤独すら感じてしまうこともあるのではないでしょうか。

そこで、妊娠・出産を控えた妻を持つすべての男性に読んでほしいのが、内野こめこさんのコミック『こちらアニマル社商品企画部育児課』です。

人間と同等の知性と感情を持つ動物「知性動物」が人間社会で暮らす世界が舞台で、知性動物による会社「安仁丸(アニマル)社」に出向になった主人公のサラリーマン・田中タカナリが、知性動物との触れ合いを通して、妊娠・出産についての理解を深めていく漫画になっています。

本を読んだ夫が『今までごめんな』と言ってくれた

主人公の田中は、少々能天気なところがあり、妊娠した妻・カナに対しても無神経な発言を繰り返してケンカになることも。そんな田中が、会社の先輩でもあるコウテイペンギンの“皇帝さん”をはじめとしたさまざまな知性動物たちと出会うことで、徐々に変化していくところが見どころです。

今回は、作者である内野さんにインタビュー。漫画を描くことになったいきさつや、登場する知性動物、田中などのキャラクターについてお話を伺いました。

――普段は息子さんたちの日常を描くエッセイ漫画を描かれていますが、今回フィクションの作品を描くことになったいきさつを教えてください。

「2018年夏に、なんとなく自分の育児とは離れたものを描きたいなと思いまして、ちょうど長男が『ざんねんないきもの事典』などを好んで読んでいたので、私も動物ものが描きたいなと思いました。

数ページの漫画を描いてツイッターで公開したんですが、それが皇帝さんが田中にコウテイペンギンの育児について語るものでした。沢山のリツイートといいねをいただいたのと、私自身としても気に入っていたので、さらに何か話を広げて描きたいなと。

それなら様々な動物の育児について描いて、単に育児ものとしてではなく、動物雑学ものとしても楽しめるものにしようと考えました。それで一冊の漫画になった形です」

――エッセイ漫画と違った苦労はありましたか?

「調べ物が多かったことですね。出てくる動物の生態なんかはぜんぶ私自身で調べて、これをこういうふうに描こう、ここにこの動物を出そうと話を設計していきました。

全話のラフができた段階でいったん(監修の)今泉忠明先生に見ていただいて、セリフや説明文、イラストなど、動物の生態で誤った部分や少し言い過ぎな部分があれば指摘してもらって。

本を読んでもその動物の『まさにその行動をしている』写真が見当たらなかったりといったこともあったので、もし完全に私の調べだけで出版していたらすごく不安だったと思います。先生に確認してもらえて、大変ありがたかったです。

担当編集さんも色々文献をあたって裏を取ってくれて、力になってくれました。でも私自身、こういう『調べて論文にまとめる』みたいな作業が元々好きなので、やっている最中はとても楽しかったです」

――私がSNSで拝見していただけでも、「夫に読ませたい」「父親学級に置いておきたい」など、出産を控えた妻を持つ男性の教科書にしたいというような内容の反響をたくさんお見掛けしました。内野さんのもとに届く声はどういったものがありましたか?

「本を読んだ夫が『今までごめんな』と言ってくれたとか、より協力的になってくれたとか、そういう感想が一番うれしかったですね。

話の最初のほうで田中はけっこうむちゃくちゃ言っていましたし、SNS公開時も読者の方が田中にかなり怒っている声が多かったんですが、ああいうタイプの男の人を批判したいがためにあれを描いたわけではないので…。

最終的に田中が感じることや着地点、そこを見てもらえたらうれしいですね」

――主人公の田中タカナリ、女性側から見るととてもイライラするけど実際いそうな絶妙なキャラ設定だと思いました(笑)。でも根はいい奴で、最終的にはちゃんと妻のことを理解し思いやってくれるところまで成長を見せて読者としても安心したのですが…田中にモデルはいるんですか?

「特にこれといったモデルはいないです。しいて言えば、私が今までに実生活やネットで見聞きした『こんな夫がいた』の集合体ですね。でもおっしゃる通り、根は素直でいい子なんですよ(笑)。

周りに影響されやすいうえにあまり物事を深く考えないので最初はあんな感じですが、根本的には奥さんを愛しているし、大事に思っています。色んなことに気付いて納得した後は、もう間違えないタイプだと思います」

――頼れる先輩・皇帝さんのキャラクター作りはどのように?

「皇帝さんは先述したツイッター公開漫画の時点で、もう完全にキャラクターの性格が決まっていましたね。どういうふうにしようとも全然考えもしなかったというか…初めに真っ白なページにセリフをのせた時点から、スルッとあんな感じでした」

「ハピママ*」更新情報が受け取れます