(C)宝塚歌劇団 撮影:岸隆子 (C)宝塚歌劇団 撮影:岸隆子

トップスター音月桂(おとづき・けい)率いる宝塚歌劇雪組公演『フットルース』が7月7日、大阪・梅田芸術劇場で幕を開けた。1984年にアメリカで公開された映画が大ヒット、1998年にはブロードウェイでミュージカル化され、100万人以上の動員を記録した本作。劇中の音楽は現在もCMなどで使用されているほどだ。物語の舞台は、ロックとダンスが禁止された保守的な田舎町・ボーモント。そこに転校してきた大都会シカゴ育ちの高校生・レンは、そんな町の状態に息苦しさを感じ、自由を求めてダンスパーティーを開こうと画策するが……。耳馴染みのある楽曲や団体で見せる迫力のダンスシーンは、思わず体を揺らしてしまうほどの楽しさ。特に客席を巻き込むシーンでは、劇場が一体となる瞬間が味わえる。一方で、夫婦、親子のすれ違いや悩み、葛藤が丁寧に描かれており、人間ドラマとしても楽しめる。そんな華やかなダンスシーンとセンシティブなドラマの絶妙なバランスも見どころだ。

宝塚歌劇雪組公演ミュージカル『フットルース』のチケット情報

高校生・レンに扮した音月は、制服を違和感なく着こなし、都会的で爽やかな雰囲気。生徒たちの中心となり引っ張っていく姿は、トップに立つ音月自身の姿とも重なって見える。ムーア牧師の娘・アリエルを演じる舞羽美海(まいはね・みみ)は、気の強い不良ぶった女子高生がハマり役。心を閉ざす父への苛立ちを繊細に表現している。そしてひとり落ち着いた大人の演技で舞台を締めるのは、ムーア牧師を演じる未涼亜希(みすず・あき)。レンと対峙するシーンで見せる苦悩が心を揺さぶる。さらに、真面目だが不器用なウィラードを演じる沙央(さおう)くらまが常に笑いを誘い、アリエルの不良のボーイフレンド・チャックを演じる蓮城まことが舞台に緊張感を走らせる。フレッシュだが芯のあるスターがそろう雪組だからこそのステージだ。

終演後の会見では、音月と舞羽、潤色・演出の小柳奈穂子に加え、原作者のディーン・ピッチフォードが登場。初めて観た宝塚歌劇に「始まって2分で我を忘れました。楽しいだけではなく、エネルギーが伝わり気分が高揚しました」と感動した様子。小柳が「いつの時代も変わらない、心の成長が描かれているので、懐かしさを味わいつつも普遍的な部分を楽しんでほしい」と魅力を語り、音月は「ただ演じるのではなく、本当にレンとして生きて、温かい血が流れる感覚を味わっています。皆さまもきっと持たれているパッションを解き放って頂き、お客様と一緒に熱くなりたい」と意気込む。舞羽も「雪組がひとつになって楽しむことができ、幸せに思います」と、充実ぶりを見せた。

公演は7月23日(月)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホール、8月1日(水)から25日(土)まで福岡・博多座にて上演。チケットは、大阪公演、福岡公演ともに発売中。

取材・文:黒石悦子