恐怖のウィルスより“恐ろしい存在”とは? 監督が語る映画『コンテイジョン』

2011.11.14 10:38配信
『コンテイジョン』を手がけたスティーブン・ソダーバーグ監督

スティーブン・ソダーバーグ監督の最新作『コンテイジョン』が日本公開されるのを記念して監督が来日し、インタビューに応じた。

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映画は、感染すると数日間で死にいたる新種のウィルスが “コンテイジョン(CONTAGION)=接触による伝染”によって世界各地に拡散する過程を追いながら、人々の恐怖が伝播し、情報が錯綜し、社会を支えている信頼が危機に陥る状況を描いている。

出張中の妻を待つ夫、世界保険機構(WHO)のドクター、疾病予防管理(CDC)センターの職員、そしてワクチンの強奪を企む謎の男たち。本作には様々なキャラクターが登場するが、ソダーバーグ監督は、ジュード・ロウが演じるフリー・ジャーナリストのアランがいなければ「この映画が成立しなかった」という。アランは自分のブログにウィルスに関する情報を次々とアップ。多くの人々が彼の情報に飛びつくが、同時に彼の流す情報によって人々は混乱し、恐怖は拡散していく。「ネットの登場によって社会がオープンなものになった時、その功罪がありますが、アランがそれを象徴していると思ったのです。彼はネット上で質問に答えるわけですが、時に間違ったり、バイアスのかかった情報を流してしまう」。

ネットの普及によって、正しい情報と誤った情報が混在して拡散してしまう事態は、ウィルスの発生時だけでなく日々起こっており、場合によってはデマを広げ、暴動を誘発し、市況の暴落やバブル状態を引き起こす。「私が不思議だと思うのは、多くの人が経験的に、ネット上の情報が事実ではなかったり、歪んだ情報だったりするとわかっているにも関わらず、自分に直接関係のないことは意外にも信じてしまうことです」。

本作では、多くの人が自身や愛する家族の生存をかけて情報を収集し、奔走する。そこで人はジレンマに陥ることもある。「“公平さ”は全員がひとつのルールに従うときにはじめて達成されますから、複数のルールが発生した時に人は怒りを覚えるでしょう。映画の中である人物が重要な情報を知り、自分の大事な人にだけその情報を渡してしまう場面がありますが、多くの観客は彼が問題だとわかると同時に、彼がそうする理由もわかるでしょう。もしかしたら自分も同じことをしてしまうと思うかもしれない。それは複雑なものです」。

ソダーバーグ監督が「これまでのウィルスを扱った映画と同じものにしたくなかった」と語る通り、『コンテイジョン』は、正誤不明な情報と、それによって引き起こされる不安や恐怖が広がった時に、人間がどのようにしてその事態に冷静さと公平さをもって向き合うことができるのかを描いた作品に仕上がっている。

『コンテイジョン』
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