Ⓒ今井久恵

幼児期に療育センターで知り合った重度の自閉症の男の子がいました。息子よりも明らかに障害は重く、目はまったく合わず、言葉もない。パニックやこだわりも相当激しい子でした。

親御さんは療育にも通っているわけですから、当然わが子に障害があることを受け止めていました。でも、すごく「通常学級」にこだわる親御さんでした。

更に「就学時健診に連れていくと、絶対にフィルターに引っかかってしまい、特別支援学級か、さらには特別支援学校へ行けと言われてしまう。だから、隠れることにしたの」と言っていました。

実は就学時健康診断は強制ではなく任意なのです。指定された日に「その日は旅行に行っている」と欠席し、振替日にも欠席し入学式までずっと隠れていました。こうして自動的に子どもには通常学級の籍が用意されていました。

ところが入学式の最中、会場を奇声を上げて走り回り、じっとしていられないその子の様子を見た学校側から「お母さん、明日からお子さんの付き添いをしてください。一緒に学校に来てください。それが条件です」と言われてしまいました。

毎日子どもと一緒に登校し、自分の給食費も払って我が子やクラスメートと一緒に給食を食べて過ごしましたが、「学校でも四六時中子どもと共にいて、他の子との発達の違いを目の当たりにして苦しくないだろうか、家に帰ってから子どもを追い詰めていないだろうか」と想像してしまいました。

特別支援学校とは

「特別支援学校」は、学業という枠にとらわれず生きていく上で必要な力をつけてくれる学校で、特別支援学級や通常学級とはスタンスが異なります。

担任は専門資格である特別支援教育の免許を持っています。さらに、生徒一人あたり教員数も多く設備も整っています。

3年生から息子が転校した特別支援学級には、障害が重い子がいて、授業中、消しゴムを食べてしまったり、オムツ替えがあったりと先生たちがその子にかかりっきりになっていました。

他の保護者からは、「我が子が放っておかれて、必要な勉強ができる環境ではなくなっている」とクレームが出ていました。

ここで私は、どちらかを非難し排除をしたいわけではありません。

けれども、障害の軽い子も中くらいの子も重い子も含め、一人ひとりの学びの機会を最大限保障することが教育の目的ですから、保護者が自分の子どもに最も合った環境を検討していく必要があると思います。

子どもの状態に合わないクラスに在籍し、担任に対して「うちの子がみんなについていけるように、きちんと対応してくれ!」と言っている保護者もいました。でも、内科を受診して「虫歯を治してください」と言っているのと同じことのように感じます。

知的に大きく遅れがない場合

知的に明らかに遅れがある場合、特別支援学校や特別支援学級が準備されています。けれども限りなくグレーに近い子どもに対して、発達障害児だけ集めたクラスはありません。

通級制度や特別支援教室を利用したり、障害を担任、クラスメート、保護者にカミングアウトしたりして個別に配慮してくれるように学校側に伝えることが大切です。

世間体や親のプライドよりも子どものことを考えて

子ども本人は正しい情報や意思を持って「僕には○○のクラスが合っているから、そこに通いたい」とは言えないわけです。例え子どもが「○○小学校に行きたい」と言ったとしても、親のビーム(光線)により言わされているのかもしれません。

そうなると、保護者が子どもの将来にかかわる重大な選択をすることになります。ここで「子どものため」ではなく、「親の願い」を投影した就学先選択がなされることも少なくありません。

それぞれの家庭の方針があると思いますが、置かれた環境次第で自信が付いたり、自己否定したりするのが人間です。ですから、“子どもの能力に一番適した成功体験や達成感が得られる教育環境”を与えてやることが大切なのではないでしょうか。

皆さんはどうお考えになりますか。