映画『プロメテウス』を手がけたリドリー・スコット監督(C) 2012 TWENTIETH CENTURY FOX

リドリー・スコット監督の最新作『プロメテウス』が現在、公開されている。独特の世界観と謎に満ちた物語が魅力の作品だが、観客の多くがスコット監督の描き出した映像に高い評価を寄せている。ときに“ビジュアリスト”と称されることもあるスコット監督の最新コメントが到着した。

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『プロメテウス』は、世界各国の遺跡から発見された“メッセージ”が指し示す宇宙の彼方に向かったプロメテウス号のクルーたちが、人類が決して触れてはならない“秘密”を目撃する姿を壮大なスケールで描く。

本作は、地球から遠く離れた惑星で、人類が想像を絶する光景を目撃する様が描かれるが、スコット監督は必要な箇所ではCGを活用しながら、基本的にはセットを建てて撮影することを選択した。使用されたのは『007』シリーズでも使用されている英国パインウッド・スタジオの最大ステージ。サッカー場を3つあわせたほどの広大な敷地に、スタッフたちは巨大な洞窟を作り上げた。スコット監督は、多くの大作映画で、俳優たちが背景合成のために味気ないブルースクリーンの前で演技しなければならないことについて「役者にとってセットは何よりも重要なものだ。青い箱の空間に座って“こっちのほうでは世界の最後が起ころうとしていて、世界はこっちの方向からやってくる”なんて説明されるよりもね。私はセットを建てたいしできるだけ再現したい。なぜなら、セットは本当にそこに実在するからだ。セットは役者が取り組めるリアルなものだ。皮肉なことに、セットのほうがずっと経済的なんだ」と力説する。

スコット監督は“独自の映像美をもつ映画作家”と紹介されることが多いが、他の大作映画の映画の監督と比較して、意外にも手早く撮影を終えてしまうという。「私がやったものはどれもより経済的だった。他の映画で空をずっと観察しているのを見たが、あれはバカげているし、どうしてそんなことが起きるのか分からないね。台本ができる前に撮影を始めて、その場ででっちあげ、あとからデジタル処理で何とかしようとするが、肝心な映像がないことに気づいて、また戻って撮り直しをする。我々の場合は、欲しいものは正確に把握していた」。

スタッフによると、スコット監督は事前にイメージをしっかりと固め、プランも入念に検討しているため、いざ撮影が始まるとほとんどのカットで撮り直すことなく1テイクか2テイクで撮影を完了してしまうという。徹底的な映像へのこだわりと、迷いのなさ。スコット監督が“これしかない!”と思ったビジュアルイメージが新作『プロメテウス』にもギッシリとつまっている。

『プロメテウス』
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