これはなんだと思います? 産地はイタリア。
一見、ふりかけに見えることから、私は「イタリアのふりかけ」と呼んでいますが、
「ペッシェ」という名のスパイスです。

   












ペッシェ、つまり「魚」。
原材料は玉ねぎ、赤唐辛子、ニンニク、イタリアンパセリ、塩。
魚は使っていないのに、なぜ魚なのかよくわかりませんが。

   

 














しかもこのふりかけ、じゃなかったペッシェはどう使うのか。出会った当初は謎でした。
ペッシェを紹介してくれた知人曰く。
「エキストラヴァージン・オリーブオイルをひいたフライパンにペッシェを入れて軽く温め、パスタと和えてごらん」

さっそく試しました。するとあっという間にペペロンチーノのようなパスタが完成。
ベーコンやナスなどをオリーブオイルで炒めた中にペッシェを入れ、パスタと和えればボリュームもでます。

   

 










【ペッシェ・ソースで和えるパスタ/ひとり分】
ロングパスタ(ショートパスタでも)   80g
ペッシェ                   小さじ1杯
エキストラヴァージン・オリーブオイル 大さじ1

(1)塩を入れた湯でパスタを茹でる。
ひとり分か、彼女とふたり分なら、鍋よりもフライパンのほうが便利。少量の水でいいので、短時間で茹でられる。ガス代も節約できます。水の量が少ない分、塩をひかえるのがコツ。

(2)別のフライパンにオリーブオイルとペッシェを入れ、弱火で温める。
ニンニクの香りがしたら火を止める。ペッシェ・ソースの完成。
火が強いとペッシェがこげるので要注意。
塩分が足りなければ塩を足す。

(3)アルデンテに茹で上がったパスタをフライパンの中でペッシェ・ソースと和え、皿に盛る。
できたてを「ふはふは」しながら食べる。

このパスタをはじめて作ったとき、オリーブオイルを入れすぎたせいでペッシェ・ソースがあまってしまいました。「ああ、もったいない」と思い、皿に移し、とっておくことにしました。

その夜、ポテトフライ(パン粉をつけて揚げるイモ料理)を作ったので、残っていたペッシェ・ソースをつけてみた。
すると。
「なんじゃコリャ!!」と叫びたくなるぐらいうまかったんです。
玉ねぎ、ニンニク、赤唐辛子などがきいているせいか、いつものとんかつソースよりもはるかにおいしかった。
ポテトフライとの相性がいいのなら、コロッケやハッシュドポテトにつけてもいいかも。

   












その次に試したのが、カキフライ。
「魚という名前のスパイスなら、魚介類にもあうんじゃないの」
大正解でした。
ペッシェ・ソースで食べるカキフライは絶品。

   

 










「ひょっとして」と思い、チャレンジしたのが鶏肉。
安いのが魅力の手羽先を買ってきました。オリーブオイルとペッシェを入れたボウルに手羽先を加え、
もみ込んだものを魚焼き網で焼くことにしたんです。
これも大成功。
鶏の唐揚げにつけても美味。惣菜コーナーに並んでいる鶏の唐揚げを買ってきて、
ペッシェ・ソースをつけて食べてみてください。
きっと「なんじゃコリャ!!」です。

   

 










揚げ物が得意な方。パン粉にペッシェを混ぜる手もあります。
3枚におろしたアジにペッシェ入りパン粉をつけて揚げれば、イタリア料理でおなじみのアジの香草揚げ。
サケやイワシの切り身でもあいます。
白ワインを用意すれば、自宅で立派なイタリア料理が楽しめます。

このコーナーでは、ペッシェのような「不思議な食材」のおいしい食べ方を紹介していこうと思っています。
題して「おいしい冒険」。
デパートなどへ行くと、ちょっと不思議な食材を見かけます。
商品説明が書いてあるものもありますが、どうやって食べるのか、皆目検討がつかないものも多々あります。
1000円程度で買えるものも多く、けっして高級食材ではありません。
けれど、誰かに食べ方を教えてもらわないと、なかなか手がでない。
「おいしい冒険の旅」に出てみたくなるような食材と、その食べ方をレポートしていこうと思っています。

【ペッシェの問い合わせ先】
ノンナアンドシディ Tel:03-3748-2898
ペッシェ 525円(50g)

東京五輪開催前の3歳の時、亀戸天神の側にあった田久保精肉店のコロッケと出会い、食に目覚める。以来コロッケの買い食いに明け暮れる人生を謳歌。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』、『自家菜園のあるレストラン』、『一流シェフの味を10分で作る! 男の料理』などの他、『笠原将弘のおやつまみ』の企画・構成を担当。