撮影:三上富之

宙組トップスター・朝夏(あさか)まなとの退団公演『神々の土地~ロマノフたちの黄昏~』『クラシカル・ビジュー』が、8月18日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。

宝塚歌劇宙組ミュージカル・プレイ『神々の土地』~ロマノフたちの黄昏~/レヴューロマン『クラシカル ビジュー』チケット情報

第一幕の『神々の土地』は、帝政末期のロシアが舞台。ロシア最後の皇帝・ニコライ二世の従兄弟で有能な軍人ドミトリー・パブロヴィチ・ロマノフが主人公で、王朝を救う道を模索する男の葛藤と生き様を描いた物語だ。

革命活動家が皇帝ニコライ二世に向けて銃を向けるプロローグ。皇帝をかばったセルゲイ大公が命を落とし、幕開きからピンと張り詰めた空気が流れる。ドミトリーは、伯父であるセルゲイ大公の屋敷に身を寄せ、大公亡き後も大公妃イリナのもとで過ごしてきたが、皇帝一家を護るべく帝都ペトログラードへと転任。そこでは怪僧ラスプーチンが皇帝一家を操っていた…。歴史上の人物やラスプーチン暗殺の史実などに架空のエピソードを加えて、重厚な物語を紡ぎ出している。

朝夏が演じるのは、皇帝一家と民衆の間に立ち、平和的な解決策を探るドミトリー。気品があり、真っすぐで、国のことを第一に考えて行動する様はトップとして組を率いてきた朝夏の姿にも重なる。男役の集大成にぴったりの役柄だ。次期トップが発表された真風涼帆(まかぜ・すずほ)は、青年貴族でドミトリーの旧友フェリックス・ユスポフ役。貴族として高いプライドと理想を持つ人物を、クールに表現している。皇帝一家を操るラスプーチンを演じるのは、愛月(あいづき)ひかる。登場するだけで空気が一変するような不気味さを漂わせながら演じている。暗殺シーンも見どころの一つだ。また、冷たい空気が流れるような描写は、ロシアを舞台にした物語ならでは。寒々しい雪原の中、ドミトリーと伶美(れいみ)うらら演じるイリナが踊る場面はため息が漏れるほど美しい。

第二幕の『クラシカル・ビジュー』は、宝石をテーマにしたレヴュー。稲葉太地演出によるエネルギッシュなステージだ。宇宙をイメージしたプロローグで、色とりどりの星が浮かぶ。そしてダイヤモンドのように煌めくシルバーの衣裳をまとった朝夏を中心に、総踊りで宙組の圧倒的なパワーを見せつけ、観客をグイグイと惹き込んでいく。朝夏と真風のリフト、朝夏と同時退団する伶美とのデュエット、組子が朝夏を囲むシーン、黒燕尾姿の朝夏がソロで踊るシーンなど、見せ場が満載。朝夏をはじめ、宙組の多彩な色を感じられるステージとなっている。

公演は、9月25日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、10月13日(金)から11月19日(日)まで東京宝塚劇場にて上演。東京公演のチケットは発売中。

取材・文:黒石悦子

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