『家康と按針』の出演者 左から古川雄輝、小柳友 (撮影:源賀津己) 『家康と按針』の出演者 左から古川雄輝、小柳友 (撮影:源賀津己)

江戸初期、イギリス人でありながら徳川家康に仕え、侍として生涯を全うした実在の人物、三浦按針。2009年、彼の人生を描いて評判を呼んだ舞台『ANJIN イングリッシュサムライ』がこの12月、『家康と按針』として再演される。今回、宣教師ドメニコ役を演じる古川雄輝と小早川秀秋など数役を演じる小柳友に話を訊いた。

宣教師ドメニコは家康と按針の間をつなぐ重要な人物。初演で藤原竜也が演じる姿を見て以来、古川にとってこの役は念願だったのだという。大学までカナダ、アメリカで過ごした古川だが、得意の英語が大きなハードルになっているのだとか。「僕が使うアメリカ英語とドメニコの話すイギリス英語は発音の仕方がかなり違う。そこを覚えるだけでもひと苦労です」。そう話す彼は、今年8月イギリスに飛び、10日間徹底的にイギリス英語を学んだ。イギリスでは演出のロイヤル・シェイクスピア・カンパニー新芸術監督、グレゴリー・ドーランとも話したそう。「生い立ちを訊かれ、"その部分はドメニコに活かせそうだね"と言われたり。稽古も刺激的なものになりそうな予感がしました」と古川は語った。

一方の小柳は今回が初舞台。「ずっと舞台をやってみたかったので、やっと来た!といううれしさが大きい。とにかく楽しみたい」と語りながらも、「舞台に立った自分を想像するだけで足が震える」と緊張を隠さない。取材中も「準備はどうしたらいいんですか?」と古川に相談。古川が初演の台本を持ち歩き、すでにセリフを暗記していると聞くと刺激を受けた様子で「僕も今日から自主稽古を始めます!」と宣言し取材現場の笑いを誘った。

この作品の魅力を「家康、按針、ドメニコ。この3人それぞれの関係性に面白さがある。若い人も楽しめると思います」と語る古川に、小柳も「映像を通して見ても、家康役の市村正親さんの迫力がすごかった。この迫力をぜひ生で感じてほしい」と加えた。

今作は来年1~2月にロンドン公演も行われる予定だ。古川は「イギリスで舞台を観た時、観客が日本よりずっと感情を表に出していることに驚きました。そんな人たちの前でこの作品を演じたらどうなるのか、楽しみです」と期待に胸を膨らませていた。

12月1日(土)・2日(日)にKAAT 神奈川芸術劇場 ホール、12月11日(火)から16日(日)に東京・青山劇場で上演した後、来年1月31日(木)から2月9日(土)までロンドンのサドラーズウェルズ劇場で公演を行う。なおチケットぴあでは、10月5日(金)より三浦按針に因んだオリジナルワイン「青い目のサムライ(赤ワイン)」特典付チケットを発売(東京公演)。

取材・文:釣木文恵