霧矢大夢 霧矢大夢

元宝塚歌劇団月組トップスターの霧矢大夢が、10月12日(金)から東京・青山劇場でファーストコンサート『Amore e Musica 夢は果てしなく…』を開催する。稽古中の霧矢に現在の心境を訊いた。

歌、ダンス、演技と三拍子そろった実力派・霧矢が宝塚歌劇団を退団したのは、今年4月のこと。「5か月経ちますけれど、日々の生活に追われていたせいか、そんなに長くは感じませんでした。退団を実感するようになったのは、最近になって東京で新生活を始めてから。今は、舞台に出たくてウズウズしているような、怖いような、半々の気持ちです」。

在団中にコンサートを開催するタカラジェンヌも少なくないが、霧矢にとってはこれが初挑戦となる。「以前からの念願だったので、実現することができて本当にうれしいです。そんな気持ちをステージで出せたら」。『Amore e Musica』は、イタリア語で“愛と音楽”を意味する。イギリスのテノール歌手、ラッセル・ワトソンの同名曲を聴いて感銘を受けた霧矢が、「皆様にいただいた愛、それと音楽の素晴らしさをお伝えしたい」との気持ちから公演タイトルに選んだという。

オーケストラがオンステージで演奏する趣向も本人の発案。歌う曲目には、『Amore e Musica』のほか、「自分にゆかりがあって皆様に耳なじみのいい音楽を歌います」と語るとおり、これまでに演じたミュージカルのナンバー、宝塚のオリジナル曲が盛り込まれる予定だ。さらには、「これを私が歌ったらどうなるだろう? というような音楽にも挑戦します」と言うから興味は尽きない。

構成・演出の酒井澄夫、音楽監督の吉田優子と鞍富真一、振付のANJU(安寿ミラ)とAYAKOら、“オール宝塚”ともいうべきスタッフの顔ぶれが頼もしい。「いきなり新しい姿をお見せするというより、宝塚あっての霧矢という原点を大事にして、次に踏み出したかった。それで、私のことをわかってらっしゃる方々にお願いしたんです。男役を観てファンになっていただいた方に、違和感なく楽しんでいただけるコンサートになると思います」。

一方で、男性ダンサー4人との共演は、観客にとって新鮮な光景だろう。「手をつなぐとき、つい手のひらを上にして出してしまったり、男役経験者が陥りやすいパターンにはまってます。リフティングされる場面もあるんですけど、やっぱり持ち上げるほうが気が楽ですね」と話す笑顔に屈託がない。

女優としての未来を前にして、これまで培ってきた芸を見つめ直す。今現在の自然な霧矢を映し出すステージになりそうだ。霧矢大夢 ファーストコンサート『Amore e Musica 夢は果てしなく…』は、青山劇場にて10月12日(金)から14日(日)まで上演される。