■浮気の判定ラインは「性的行為」があったかどうか
小川弁護士によると、民法上で浮気(不貞行為)をはっきり規定する基準は存在しないという。「夫婦以外で手をつないだら損害賠償責任が発生する」などという具体的な条文はどこにもないのだ。だけどご存じのとおり、日本の裁判は判例がものをいう。過去の膨大な判例から導き出された“浮気の判定ライン”というのは存在する。
それは肉体関係――つまり“性的行為”の有無。もっとダイレクトにいえば「エッチしたかどうか」だ。だから手をつないだり、軽くキスをしただけなら法的にはセーフ。これだけだと性的行為にはあたらず、パートナーや浮気相手に対して慰謝料は請求できない。
【浮気とみなされないケース】
・パートナー以外の異性と一緒に食事をした
・手をつないだ
・ふたりで見つめ合った
・軽くキスをした
・誕生日にプレゼントを贈った
・バレンタインデーに手作りチョコを贈った / 受け取った
・合コンや婚活パーティーに出て不特定多数の異性と会った
・親密な内容のメールをやりとりした
・FacebookなどのSNSで親密なメッセージを交換した
・出会い系サイトに登録して親密なメッセージを交換した
・ビデオチャットサイトで画面越しに互いの裸を見せ合った
こうして見ると、私たち一般人が想像していた浮気のラインよりずいぶんと甘く感じられないだろうか。
ただし上記の行為がすべて絶対にセーフとは限らない。たとえば軽いフレンチキスではなく濃厚なキスを何度も長期間にわたって繰り返し、それが写真やビデオで証拠として残っているケース。これは裁判で「エッチしている証拠はないけど、この2人はキスより先の行為も絶対やってるよね」と判断される可能性が高いというのだ。メールの場合も同様。親密なメールが多数、何ヶ月にもわたって継続的にやりとりされていれば、メールのやりとり自体は不貞行為にはならないが、その親密な内容や頻度から、性的関係が十分うかがわれるということで不貞行為の存在が認定され、慰謝料が発生してしまう可能性がある。