■フジテレビの『大奥』からTBSの『大奥』へ

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『大奥』の映像化というと、だいたいのドラマファンはフジテレビを連想する。古くは1960年代後半に全52話で放送され、その後、1980年代半ばにも全51話で作られた。スーパー時代劇シリーズとして2003年から2006年に作られた連ドラや映画は、覚えている人も多いだろう。これらはみなフジテレビ(正確には関西テレビ)と東映が制作したものだ。

これに対して、男女逆転の『大奥』は、TBSと松竹が作っている。その第1弾が、2010年に公開された二宮和也と柴咲コウの映画『大奥』だった。二宮和也は貧乏旗本の息子・水野、柴咲コウは八代将軍・吉宗を演じていた(以下、[水野・吉宗篇]と表記)。

 男女逆転の『大奥』は、赤面疱瘡という男子にしかかからない病気が世の中に蔓延し、男子の数が極端に減った世界が舞台。そのため、それまで男性が担っていた仕事の多くを女性が担うようになり、将軍職も女性が務めている。もちろん、フィクションなのだが、歴史上の人物が男女入れ替わって出てきたり、史実や俗説がそのままストーリーに盛り込まれたりしているので、通常の『大奥』と見比べてもかなり面白いのだ。

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この[水野・吉宗篇]の興行収入は、23.2億円(日本映画製作者連盟調べ)。邦画で20億円超えなら、十分に大ヒットと言えるだろう。『大奥』ならでは の華麗さ、豪華さ、そして愛憎は、男女逆転の世界でもきちんと映像化されていたし、なにより名君と呼ばれた吉宗を柴咲コウが格好良く演じていた。ぜひ続編 を、と考えるのも当然の流れだったと思う。

もともと[水野・吉宗篇]は、よしながふみの原作第1巻にあたる部分で、すでに男子の数が減って久しい時代を描いている。つまり、この時代を生きている人たちは、それが当たり前だと思っている設定だ。吉宗も女性が将軍に就くのは当然だと思っている。ただ、[水野・吉宗篇]の映画には描かれていないが、原作では、あのあと吉宗がなぜ家督を継ぐ者がみな男の名にならなければいけないのかということに疑問をもつ。そこで、大奥で起きた出来事を記録した「没日録」という日記を、御右筆の村瀬という人物を訪ねて読みに行く。つまり、原作の第2巻以降は、吉宗が読んでいる「没日録」の内容であって、その冒頭が、10~12月期に連ドラとなった[有功・家光篇]というわけだ。