<家電激戦区を歩く>福岡・福岡市(4) スマートデバイスで収益増を狙う ウルトラブックは起爆剤になるか

2013.2.12 11:47配信
ビックカメラ天神1号館では、テザリング機能を求めるお客様が多いという

数だけでなく、客層が変わりつつあるJR博多駅前や、依然として訪れる人が多い天神地区を中心として、福岡市にはスマートフォンやタブレット端末など、スマートデバイスの販売に力を入れている家電量販店が多い。郊外店も含め、スマートフォンやスマートフォンアクセサリ、タブレット端末の新規購入が増えているようだ。一方、ノートパソコンはスマートデバイスの広がりの影響を受けている。薄型・軽量のウルトラブックのデザイン性をアピールしたり、Windows 8の使いやすさを訴えることでノートパソコンの買い替えを促すなど、販売に向けて試行錯誤している店がみられた。(取材・文/佐相彰彦)

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<売れ筋商品>

●【スマートデバイス】

タブレット端末の需要が急増 スマートフォンは快適性を求める

ビックカメラ天神1号館では、タブレット端末の販売が爆発的に伸びている。中村篤思主任は、「昨年秋頃から、7インチモデルが充実してきた。スマートフォンよりも画面が大きくて、10インチのタブレット端末よりも軽いので、モバイル用途で購入しているお客様が多い」と説明する。アップル「iPad mini」とASUSの「Nexus 7」が売れ筋だという。売れるのはWi-Fiモデルが圧倒的に多く、「モバイルWi-Fiルータと一緒に購入する方や、家庭にWi-Fi環境がある方は、外出先ではスマートフォンのテザリング機能を使うという方が多い」とのことだ。

ヤマダ電機テックランド博多本店でも、7インチのタブレット端末の販売が好調だ。五十川総寿店長は、「事前に気になるモデルの機能や価格をインターネットなどで調べてから来店するお客様が多い。スタッフに操作性や用途など、さまざまなことを聞いて、自分に最適なモデルを選択している」という。人気は「iPad mini」「Nexus 7」に加え、レノボ・ジャパン「Idea Tab」だという。「売れ筋モデルは、確実に在庫を確保している」(五十川店長)と、お客様の期待を裏切らないようにしているのがテックランド博多本店の売りだ。

タブレット端末は新規購入が多いが、スマートフォンに関しては機種変更が中心。依然として販売は堅調だ。「3GからLTE(4G)へと通信が高速化したことで、快適性を求めて機種変更するお客様が多い」(ビックカメラ天神1号館の中村主任)という。また、タブレット端末の購入と同時に、テザリング機能をもつスマートフォンを購入する。従来型携帯電話からの機種変更は、「すでにスマートフォンに乗り換えているお客様が多いのか、以前よりも少ない」(中村主任)ということだ。従来型携帯電話のユーザーは通話やメールを重視する傾向があって、「タブレット端末をもっているからスマートフォンはいらない」というお客様もいるという。

●【スマートフォンアクセサリ】

豊富な品揃えがポイント 端末の買取りを意識した提案も

スマートフォンの堅調な販売は、スマートフォンアクセサリの好調に結びついている。ビックカメラ天神1号館では、お客様の目に入る商品を少しでも増やすために、商品を棚に陳列するだけでなく、天井からも吊るしている。また、対応モデルごとにコーナーを設けることで、お客様が購入したいアクセサリを探しやすくしている。中村主任はアクセサリに関して、「端末を購入するとき、同時にアクセサリを購入するお客様が多い。もしそのときにお客様の求める商品がないと、販売機会を逃すことになってしまう。何よりも豊富な品揃えが重要」としている。アクセサリのなかで最も売れるのはケースだが、最近ではモバイルバッテリなども人気が高まっているという。さらに、「液晶保護フィルムの販売を増やす取り組みとして、画面を傷つけずに端末を大事に使っていれば、下取りなどの際に高く売れることをアピールしている」(中村主任)そうだ。この提案によって、液晶保護フィルムは不要と考えていたお客様も購入するようになっているという。

スマートフォンアクセサリは、例えばケース一つをとってみても、多くのメーカーがデザインやカラーが異なるラインアップを揃えるなど、商品点数が多い。家電量販店にとっては、お客様が気軽に購入できる手離れのいい商品であるが、多くの種類を展示しながら、お客様が買いやすい売り場をつくるためには、陳列の仕方やコーナーづくりなどに工夫を凝らさなければならない。中村主任は、「最近は、タブレット端末のアクセサリも増えている。例えばケースやストラップなどでコーディネートした実機の展示台を設けるなど、コーナーや陳列の方法を進化させていきたい」と意欲的だ。

●【ノートパソコン】

Windows 8の操作性を訴える ウルトラブックで活性化なるか

スマートデバイスの普及によって、厳しい状況に陥っているのがノートパソコンだ。とくに、タブレット端末と機能がかぶってくるモバイル型ノートパソコンの販売が落ち込んでいる店舗が多い。ビックカメラ天神1号館の中村主任も、「外出先でのインターネット閲覧は、スマートデバイスが主流になっている。ノートパソコンを外に持ち出すニーズは、さらに少なくなっていくだろう」と捉えている。ビックカメラ天神1号館では、家の中で持ち運ぶ用途を想定してノートパソコンを提案しているほか、「タブレット端末とは異なる点として、画像や動画の編集ができることを訴えている」という。

さらに中村主任は、「ウルトラブックがノートパソコンの起爆剤になるかどうかだ」という。軽く、薄く、起動が速いウルトラブックは、スタイリッシュなデザインのモデルが多い。「最近、女性のお客様がウルトラブックについてスタッフに説明を求めることが多くなった」そうだ。こうしたニーズに応えるために、ウルトラブックに特化したコーナーを設置して品揃えの充実を図っているという。

個人だけでなく、法人顧客も多いヤマダ電機テックランド博多本店は、「パソコンの販売は順調。とくに法人窓口でパソコンの問い合わせが多い」(五十川店長)と自信をみせる。個人のお客様に対しては新OSの訴求が重要と判断して、Windows 8搭載モデルの使い勝手のよさを訴えるために、指で操作するタッチ式と非タッチ式、そしてタブレット端末を同じ棚に展示している。Windows 8に関しては、ビックカメラ天神1号館でも「タブレット端末との親和性に活路を見出せるのではないか」(中村主任)とみている。

■アナリストに聞く「売れる理由」

タブレット端末は2012年冬から急激に伸びている。デスクトップPCとノートPC、タブレット端末を合わせたPCの販売台数構成で、タブレット端末は11月に全体の30.5%、12月に32.0%と3割を超えている。タブレット端末だけをみた販売台数指数では、iPadが登場した10年5月を1.0とすると、12年10月までは3.0だったものが、11月に6.0、12月に7.7まで膨れ上がった。需要が増えているのは、7インチモデルが充実してきているから。タブレット端末の販売台数構成では、7インチモデルが12月に69.1%を占めた。一方、スマートフォンは、以前のような爆発的な伸びが落ち着いて、安定成長の局面に入っている。また、依然として従来型携帯電話のニーズも存在する。現在、携帯電話全体での販売台数比率は、スマートフォンが8割程度、従来型携帯電話が2割程度。この比率は、変わらずに推移するだろう。

スマートフォンアクセサリ市場は、この3年で約19倍に拡大した。高い利益率と在庫回転率の速さなどで、家電量販店にとっては旨味のある商材だ。当面は、市場が拡大していくのは間違いない。

ノートパソコンは、ウルトラブックにファッション性をもたせたことで、ユーザーが家のインテリアに合わせて購入するなど、据え置き型としてアピールすることが重要なのではないか。

●家電激戦区「福岡市」を歩いて

JR博多駅前の活性化や、九州最大の繁華街である天神の安定した集客などで、福岡市は家電量販店にとってまだまだビジネスチャンスがある地域だ。郊外は、まだまだ出店の余地があり、大手家電量販店の新たな参入で競争が激化しそうだ。また韓国など、アジアへの玄関口としても発展する可能性が高く、海外観光客の増加にも期待がかかる。九州最大の家電量販市場として、ますます拡大していくとみていいだろう。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。なお、「タブレット端末」に該当するAmazonの「Kindle Fire HD/Fire」は、現在、集計対象外となっております。何卒ご了承ください。→詳しくはこちら。

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2013年2月4日付 vol.1467より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは

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