2年を経て、客席と一体となれる瞬間を楽しみに

撮影/杉映貴子

――本来上演するはずだった2020年から今年の上演まで、約2年という時間経た今だからできるのではないかと思う表現はありますか?

小関 僕は、この1年、2年を意味が持てるような日々にしたい、と思って過ごしてはきたんですけど、でもやっぱりこの2年間をあまり肯定はしたくない気持ちがあります。

コロナ禍で起きたことやこのもどかしさは、やっぱりなくてよかったんじゃないかな、あってほしくなかったなと思っていて。そういう、なるべくポジティブでいきたいけど、今はあまり肯定したくないっていう気持ちを前提にお話しすると、この間で大切な人を亡くすという体験をしたことはすごく大きいかなと思います。

公生くんは母親が亡くなったことでピアノの音が聴こえなくなりますが、僕は価値観が大きく変わりました。いい意味でも、悪い意味でも。

その経験をした頃に、この作品のコンセプトアルバムの収録があったのですが、楽曲がリンクしすぎて。この楽曲たちを世に出したいという気持ちもありつつ、やっぱりすごく辛い思いで歌っていたのも覚えています。そういう意味で、良くも悪くも、今やることに何か意味があるんじゃないなと思います。

撮影/杉映貴子

――木村さんはいかがですか?

木村 僕はいつだって未知数でありたいので。自分でも自分の能力を知らないし、日によって変わるものもあるし。モチベーションだったり、コンディションだったりも変わっていきますし。だからいつも、どんなことができるんだろうって思っています。

――この2年で「これってもしかしたら公生のあの気持ちかな」と思うことがあったりは?

木村 求められているのにできない、っていうことはあったかな。事務所の社長からよく「海外、行ってくればいいじゃん」って言われるんですけど、「仕事の状況的にも行けないし、今は渡航できる状態じゃないでしょう!?」って思う。それは公生と同じような気持ち……。

小関 (笑)

木村 (飄々と)「ピアノ弾いてよ」「弾けない」っていうのと似てるかな~。

撮影/杉映貴子

――わかりました(笑)。この作品のモチーフは音楽で、公生がピアニストだからこそ、劇場で感じられるものもありそうですね。

小関 この作品の“舞台版”の魅力のひとつに、まさにコンサート会場にいるような感覚になれるところがあると思います。ステージ上にはグランドピアノがドーンとあって、有馬公生くんが、椅子を引いて、座って、演奏し始める。お客様は実際の客席でそれを聴く、みたいな。

その緊張感と臨場感は、生だからこそ、目の前にいるからこそ、味わえるすごく大きな魅力なんじゃないかなって。それをお客様と一緒につくれるその瞬間が一番楽しみだなって思います。

木村 それとこの作品は昨年、コンセプトアルバムもリリースしているので。僕がミュージカルで面白いなと思うことのひとつに、「知っている曲がどこで流れるか」というものがあります。

今回はそういう、「ここでこの曲が来るんだ!」っていう共感が生まれる気もしていて。お客様と一緒にグルーヴをつくっていける舞台になるんじゃないかなと思っています。

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